9. 九日目(9月21日(土))、エルヴァス、サンタ・ルチア要塞、モンサラーシュ、サフラ



ポザーダの修道院遺跡など見た後、10時出発。
エルヴァス


11時40分エルヴァス着。スペインとの国境からわずか12km。そのためイスラム教徒対キリスト教徒、ポルトガル対スペインなど様々な攻防戦が繰り広げられてきた。街は17世紀に築かれた二重の塁壁で囲まれ、その間に多くの稜堡を備えている。さらに北にグラサ要塞、南にサンタ・ルチア要塞があり、連携している。これにより、1801年ナポレオン軍によるスペイン侵入戦争の舞台になった時も街を守り抜いたという要塞都市。
駐車場を出てすぐにレプブリカ広場に出る。ここが街の中心。広場の南にある案内所に行ってみたが閉まっていた。



広場の北側にアスンサオン聖母教会が立つ。かってはゴシック様式だったが16世紀にマヌエル様式に改装された。現在は教区教会に格下げされているがかって大聖堂だった面影が残る。
アスンサオン聖母教会の横の道を上がるとサンタ・クララ広場に出る。広場の中央には16世紀のペロリーニョ(罪人を晒した柱)が立つ。アスンサオン聖母教会の北隣、広場に面してドミニカ教会がある。16世紀に建てられた、ルネッサンス様式の小さな八角形の教会。内部は唐草模様が描かれた8本の円柱で丸屋根を支え、壁一面に17世紀の美しいアズレージョが施された幻想的な空間とのことだが、閉まっていて入れなかったのは残念。



サンタ・クララ広場のアーチを潜って花や植木で飾られた小道を進むと城前の広場に出る。城は43m×43mくらいの小さなもの。天守と4つの塔が張り出している。降ったり止んだりの雨も上がって、城壁上を歩くのも助かる。グラサ要塞が見えるはずだが霧でよくわからない。城館の1階はカフェテリアになっている。
城の横の広場から眺めると稜堡の様子がわかる。
駐車場に戻り、13時20分出発。駐車場を出るのに急な坂を上り、出口で急に左に曲がるときに前方が良く見えず壁にぶつかる。右前のヘッドランプカバーが破損、車体も凹む。ガムテープで応急処置をする。レンタカー会社にどうしたら良いか相談したら、ドライブ可能ならそのままでよいとのこと。実際、空港で車を返したとき何も言われず、保険が効いたのか追徴もなく、良かった。



街の西に入って来るアモレイラの水道橋へ行く。壮大な構造物が延々と伸びて圧倒される。
サンタ・ルチア要塞へ向かう。
サンタ・ルチア要塞



サンタ・ルチア要塞はエルヴァスの南を固めている。雨も上がり、城館の屋上に出ると城壁に囲まれたエルヴァスの街、北側を固めるグラサ要塞の様子がよくわかる。内陣を構成する兵士の宿舎などは城館を取り囲むように地中に埋め込まれており、城館へは一旦城門の上へ回って橋を渡ってはいるようになっている。塔屋の屋上へ上がるには筒状の空間の両側に埋め込まれた石の足掛かりを上るようになっている。15時40分出発。
モンサラーシュ


16時45分、モンサラーシュ着。ポルトガルで最も美しい村の一つ。スペイン国境近くの標高332mの丘の頂にある。8世紀にイスラム教徒に征服されたが、1167年にアフォンソ・エンリケスが奪還。その後再びアラブ人の手に落ちたが、1232年にサンチョ2世が再征服した。歴史が軍事的な重要拠点だったことを物語る。



駐車場の眼下に大きな湖が広がる。アルコバ門を入って真っすぐ進むとヌノ・アルヴァレス・ペレイラ広場に出る。ここが村の中心でラグーンの聖母教会❻、新村議会❼などが取り囲み、中央にペロリーニョ❽が建っている。教会の隣にフレスコ博物館⓯がある。メインのディレイタ通りを北に進むと真っ白な街並みが続く。夏になると家々の壁を石灰で塗り替える作業が始められるという。突き当りを左折し、ド・サンティアゴ通りのレストラン(32)横をさらに進むとすぐに城壁に出、広々とした原野が広がっている。坂の上は町門前の広場。
町門❾からまっすぐ伸びるド・サンティアゴ通りを進むと元サンティアゴ教会のアートギャラリー⓮がある。通りの突き当りが元尋問所⓭で今は展示施設になっているようだ。ここを左折し坂を上ると城前広場に出る。



城❸は13世紀にディニス王によって再建された物。現在は闘牛場として利用されている。城壁に登ると街を一望できる。右手のパレイラス通りを経て城壁沿いに進み、駐車場に戻る。



18時10分出発。19時25分(スペイン時間では20時25分)国境を通過スペインに入る。
サフラ



20時40分、パラドール・デ・サフラ(パラドールは中世の城や修道院などを改装した国営ホテル。15世紀にフェリア侯爵によって建てられたアルカサルを改装)にチェックイン。サフラはケルト人によって築かれたかなり古い町で、ローマ時代には銀の道の中継地として栄えた。
街へ出て中華の「京城飯店」で夕食。味はまずまず。











(つづく)