11.十一日目(9月23日(月))、コルドバ、ウベダ、バエサ、アルマグロ
コルドバ
ホテルを出てメスキータ1へ。ミサをやっているからその間は€10の入場料はいらぬとのこと。後ウマイヤ朝を開いたアブド・アッラフマーン1世により、785年に始められた。その後3回にわたって拡張され、25000人を収容する大モスクが完成した。
内部は大理石と赤レンガを交互に組み合わせたアーチが限りなく広がり、「円柱の森」と呼ばれる。かっては1000本の柱があったが、現存するのは約850本。本来モスクの中は明るいはずだが、コルドバを再征服したキリスト教徒による改造で、入り口は5つの門を残してすべて塞がれてしまった。
848年にアブド・アッラフマーン2世によって拡張された部分は、レコンキスタ後カテドラルに改造されたところが多く、元の姿を知るのは難しい。さらに奥に広がるのが、961年にハカム2世による2度目の拡張部分。奥にミフラーブ(メッカの方向を示す壁龕)があり、その前に並ぶマクスラでカリフたちは祈りをささげた。金色に彩られた繊細な細工が美しい。
ミサが終わり、追い立てられるように外に出る。
北東の門を出てユダヤ人街を東に進むとポトロ広場に出る。コルドバ市の紋章である小馬(ポトロ)の泉がある。広場奥西側にセルバンテスも宿泊して「ドン・キホーテ」に登場する旅籠屋ポトロ、その向かいにフリオ・オメロ・デ・トーレス美術館とコルドバ美術館25が小さなパティオを挟んで建つ。
美術館の脇を通って北に進むとコレデーラ広場26に出る。一部を除いて4階建ての色鮮やかな建物で囲まれた矩形の広場。広場西側の門を出てしばらく行くとローマ神殿遺跡27。西へ向かってその先を進むとテンディーリヤス広場。こじんまりした広場だが緑や案内所もある。繁華街はこの周辺で、北へのホセ・クルス・コンデ通りや、西に向かうコンデ・デ・ゴンドマール通りには商店やバルが並んで賑やかそうだが、南に向かう。道沿いにきれいなパティオが目に付く。毎年5月にはパティオ祭りが開催され、コンクールに参加する約65ヵ所のパティオが無料で一般公開されるそうだ。この道はメスキートタに突き当たる。
メスキータ北側の道を西へ進み、城壁近くのユダヤ人街を通ってホテルへ戻る。11時10分ホテル出発。
ウベダ
12時45分、ウベダのアンダルシア広場地下駐車場着。ローマ人が築き、モーロ人によって栄えてきた町が、キリスト教徒によって再征服されたのは1234年のこと。約2世紀にわたりレコンキスタの最前線であったウベダはルネッサンス時代にその最盛期を迎えた。イスラム、ムデハル、ロマネスク、ゴシックなどの影響も残るが、このまちの建築の特徴はルネッサンス様式で、ウベダとバエサのルネッサンス様式の記念碑的建築群が世界遺産となっている。
駐車場を出てリアル通りを進むと右手にヴェラ・デ・ロス・コボス宮㉒。左前方に市庁舎(カデナス宮)㉓の背面が面するロス・カイドス広場がある。市庁舎の南側にバスケス・デ・モリーナ広場があり町の中心。
市庁舎前を東に進むと左手にディーン・オルテガ宮(現在はパラドール・デ・ウベダ)㉘。正面にスペイン・ルネッサンスを代表するエル・サルバドール教会㉙がある。南門が特徴的。
隣のロス・オンダロス・ヴィエホス・デル・サルバドール病院㉚の先がサンタ・ルチア広場で眼下に田園風景が広がる
道を戻って左手に様々な様式が混在するというサンタ・マリア教会㉔。時間がないのでパス。
パラドールの横の道を進むと5月1日広場。広場西端のアユンタミエント・ヴィエホ㉟は1階が非常に高い。北側にはサン・パブロ教会㊱。レコンキスタ時代のものだが、1368年のキリスト教徒対イスラム教徒の戦いで破壊され、13世紀当初のもので残るのはロマネスク様式の西の扉だけ。教会の北側の道を西に進むとシナゴガ(ユダヤ教礼拝堂)②がある。駐車場に戻り14時45分出発。
バエサ
15時10分、バエサ着。ウベダの双子の妹と言われ、両市のルネッサンス様式の記念碑的建築物群が世界遺産。イスラム時代は要塞都市として栄え、1227年にはフェルナンド3世によるレコンキスタの最初の占領地となった。以降、コルドバ、セビーリャと重要な都市を次々と奪回する先駆けとなった町。
カテドラルを目指して進むと左手にサンタ・クルズ教会。その向かいに細い通路を挟んで旧大学、ハバルキント宮殿。旧大学は1875年から高校となり、スペインを代表する詩人アントニオ・マチャードが1912年から7年間教鞭をとった。ハバルキント宮殿はフェルナンド3世の又従兄弟ファン・アルフォンソ・バナビデスの命で建設された。15世紀末に造られたイサベル様式(15世紀末から16世紀初め、ゴシック様式とムデハル様式の融合したもの。過剰な装飾が特徴)のファサードが素晴らしい。
二つの建物の間の道を進み、旧大学端のアーチを潜って北に進むとスペイン広場。北西に伸びるサン・フランシスコ通りを進むと市場。5連アーチのポーチがある良い建物。その先にサン・フランシスコ教会跡がある。市場の手前で南北に伸びる道に面して市庁舎。
市庁舎の端で突き当たったところで左折し、しばらく行くと遊歩道パセオ・デ・ラ・コンスティテューションにぶつかる。北西側の道にはアーケードが続き、商店や飲食店が並ぶ。遊歩道の奥にライオンの噴水があるポプロ広場。ここに案内所がある。広場の西側にあるハエン門は1526年、カルロス1世がポルトガルのイサベルと結婚するためにセビーリャに向かう途中、バエサを通った際に建設されたもの。
ポプロ広場から道を間違えて旧大学へ戻り、カテドラルへ。サンタ・マリア広場に面して建つが教会入り口は細い路地を入ったせせこましいところにある。13世紀にフェルナンド3世の発案で工事が始まったと伝えられるが、現在の建物の大部分は16世紀のもの。16時55分出発。
19時パラドール・デ・アルマグロ(16世紀の修道院を改装)にチェックイン。アルマグロはラ・マンチャの旧都。レコンキスタ時代にはその攻防戦の基地であり、アンダルシアへ去ったイスラム教徒の後に再植民したカラトウラーバ騎士団は統治する地域の首都を置き、騎士団長たちの本拠とした。
パラドールを出て北に進むとほどなく街の中心マヨール広場に出る。スペイン一美しい田舎の広場と評判。木造2層のバルコニーが南北2辺に長く連なり、緑に統一された窓枠が白い壁とのコントラストで美しい。1階部分はアーケードになっており土産物屋やレストランが並んでいる。チーズの店でケソ・マンチェゴというチーズとサラミを混ぜて加工した瓶詰の加工品を買う。北側のアーケードをくぐると露地の奥に劇場博物館。南側には広場に面して野天劇場がある。17世紀に建てられた、現在も使われているものとしてはヨーロッパ最古の劇場。閉まっていては入れず残念。
パラドールに戻って夕食。
(つづく)