3. 三日目(9月16日(日))、プリトウヴィツエ湖群国立公園、ニン、ザダル
プリトウヴィツエ湖群国立公園
8時25分ホテル出発。天気が良いので帰り道に予定していたプリトウヴィツエ湖群国立公園へ向かう。10時50分到着。プリトウヴィツエ湖群国立公園は大小16の湖と92ヵ所の滝を持つ。世界遺産。最も高い位置にある湖は標高640m、そこから一番低い標高500mの湖までを滝が結んでいる。この地の岩石特有の水文地質学的性質によりドロマイトが水を保持し、その結果として石灰質堆積物中に峡谷が出来上がった。湖群は石灰華の形成過程で生み出された障壁で仕切られたもので現在も進行中。



入口1でチケットを買い、進むと展望台に出る。左手にカルジェロヴァツ湖、右下にノヴァコヴィツア・ブロッド湖、その奥にヴェリキ滝が望める。つづら折りの急な坂を下り、二つの湖の間を抜けて向こう岸の断崖の下を右に進むと園内最大のヴェリキ滝に出る。途中、かっての桟道が流れに代わっている脇を通る。「地球の歩き方2016~17」によると「桟道が水没していて多くの人が裸足で歩くか靴のまま水に浸かって歩いていたのでビーチサンダルか長靴が必須」とあったのはこのことだと合点する。用心して防水処理のキャラバンシューズを履いてきたが、幸い桟道は新しく整備されていて問題なし。



来た道を戻り、カルジェロヴァツ湖の右岸を進むとカヴァノヴァツ湖との境にぶつかる。沢山のなだらかな滝が流れ落ちるのを眺めながら遊歩道を進むとシュプリャラ洞窟が見えてくる。洞窟は上の道に通じていて左手から螺旋階段で上に上れる。桟道を上りカヴァノヴァツ湖の左岸を進む。ミラノヴァツ湖から流れ落ちるミルカ・トルニナ滝の脇を上る。滝の名は公園に寄付したオペラ歌手にちなむ。ミラノヴァツ湖の左岸を進み、ミラノヴァチュキ滝の脇を上ると最大のコズイヤク湖が見えてくる。右手に進むとP3の船着き場に着く。



ここからP2の船着き場まで船に乗る予定だったが長蛇の行列待ち。カフェや土産物屋などがあるのでトイレを済ませ、アイスを買って待つが時間ばかり経つ。船が到着しても大きな船ではないので、行列は大して減らない。仕方ないので上湖群は諦めて引き返す。坂を上り上の道を進むとシュプリャラ洞窟を上から下る入り口の脇を過ぎる。ここの展望台からはカヴァノヴァツ湖とカルジェロヴァツ湖の堰堤脇を通る遊歩道が見下ろせてなかなか美しい。この道を来たのは正解だった。14時15分出発。
ニン
16時ニンの旧市街と結ぶ橋のたもとにある駐車場に着く。案内所もここにある。
ニンは小さな町だが、かって初代クロアチア王国の王宮が置かれており、歴史的に重要な町である。ラグーン(潟)の泥エステが最近注目を浴びているとのことだが今回はパス。



石造の「町の橋」の傍らにブラニミル公像が立っている。彼はクロアチア公という地位を東のビザンチンから西のローマの力を使って独立させた初代クロアチア国王。橋を渡って旧市街へ。橋は昨年の洪水で壊れ修復中。橋のたもとに11世紀に使われていた古いクロアチアの帆船コンドウラ・クロアティカの復元されたものが浮かんでいる。町の門を潜って進むと聖アンセルム教区教会の前に出る。6世紀創建と伝えられるが現在の建物は18世紀のもの。広場に面した脇の入り口上部などに古い彫像と思われるものが飾られている。教会広場にイヴァン・メシュトロヴィッチ作のグルグール・ニンスキ像が立っている。グルグール・ニンスキは10世紀ダルマチアの教会政治に大きくかかわった司教で、クロアチアのラテン語化に抵抗し、クロアチア語でミサを行うことを決めた。



通りをさらに進むと突き当たった右側にニン歴史博物館がある。ここを左折して進むとローマ時代の寺院遺跡、北に向かって進み右折してしばらく行くとローマ時代の住居跡がある。いずれも1~2世紀のもの。



この前を過ぎて突き当たって右折すると聖十字教会。9世紀の建造で「世界で最も小さい教会」とも呼ばれる。周囲には当時の貴族の邸宅跡が残っている。
この道を進み聖アンセルム教区教会広場から西に向かって進むと海岸に出、突堤がある。ここから海岸沿いに進み、「町の橋」を過ぎてしばらく行くと昔の町の壁が残っている。ここに架かる木造の遊歩橋を戻ると東側一面に塩田が広がっている。橋を渡り終わって右折し駐車場に戻る。17時10分出発。
ザダル
17時30分、旧市街入口に近い駐車場に着く。ザダルはかってダルマチア地方の中心として栄えた港湾都市。町の起源は紀元前9世紀のリブルニア人の集落。ローマの支配を経て、中世にはヴェネツィア共和国と競うほどの勢力を誇った。第四次十字軍に攻撃され、その後ヴェネツィア共和国の支配下に置かれた。教会関連施設はクロアチア屈指の充実度を誇る。2016年にはヨーロッパのベスト観光地の1位に選ばれた。16~17世紀のヴェネツィアの防御施設が世界遺産。



ザダル旧市街地図 ペトラ・ゾロニチャ広場とキャプテン塔 教区主任司祭宮
今は公園となっている城砦を巻くように進むとペトラ・ゾロニチャ広場に出る。教区主任司祭宮、キャプテン塔などが面しており、塔の壁を使った訓練を楽しむ人たちがいる。塔の前に続く5ブナラ広場を通り公園へ。公園の南端から正門が見える。正門脇には濠のように海が切り込んでいる。
ペトラ・ゾロニチャ広場に戻って正面の道を進み、右手に聖シメオン教会を見てしばらくするとナロドウニ広場に出る。民族学博物館になっている時計塔、市庁舎、市のロッジなどに囲まれている。案内所もあり資料を手に入れられる。



シロカ通りを進むと前方に聖ストシア大聖堂の塔が見えてくる。フォーラム遺跡に出たところで右折してアレクサンドラ3世通りを進むと右手に聖クルシェヴァン教会があり、さらに進むと聖クルシェヴァン門に到る。



来た道を引き返しフォーラムへ。ザダルのフォーラムは紀元前1~期限3世紀にかけて造られた町の中心地。傍らに聖ドナト教会が建つ。9世紀建造のプレ・ロマネスク様式の円形教会でザダルのシンボル。内部は音響効果が高いのでコンサートなどにも利用されている。フォーラムは2本の柱のみが残っているが、北西に立つ「恥の柱」は中世には軽犯罪者を縛って晒したところ。



「恥の柱」の先を右折すると聖ストシャ大聖堂の広場に出る。12世紀建造のロマネスク様式でダルマチア最大の規模を誇る。



フォーラムに続くセレニ広場を通り海岸へ。さすがに疲れたのでベンチに腰掛け、半島先端の「シーオルガン」(海岸の風で地面に埋められた装置が反応してメロディを奏でる)や「ザダルの太陽」(日没時に床が七色に光る仕掛け)を見に行くという息子たちの帰りを待つ。有名なサンセットはさすがに見事。帰ってきた息子たちはお目当ての「ザダルの太陽」も見えず、「シーオルガン」も聞こえなかったという。海岸通りを引き返して大学院・図書館の前を通り正門から出て駐車場へ。19時25分出発。



19時30分、ホテル・コロバレにチェックイン。食堂で夕食。





