6.六日目(9月19日(水))、ドウブロヴニク旧市街
ドウブロヴニク
「アドリア海の真珠」と称えられる世界遺産。オレンジ色に統一された屋根が並ぶ旧市街は、高く重厚な城壁に囲まれている。
7時45分にホテル出発。歩いてバス停へ向かう。途中立派な庭園があったがパス。バス停近くにたむろしているタクシーに切り替えてドウブロヴニク旧市街へ。早くて安かった。
空堀の橋を渡りピレ門❶から入ると中は広い曲輪になっていて、斜路を折り返して中の門を出ると正面にプラツア通り❻が伸びている。これが目抜き通りだが時間が早いので人影はまばら。これを進むとルジャ広場に出る。周囲はスポンザ宮殿❽、聖ヴラホ教会⓫などに囲まれ、広場の中心にはオルランドの柱❼が立っている。
鐘楼❾脇の門を潜り、城壁沿いにプロチェ門に向かう。15世紀に造られたドミニコ会修道院㉕の前を通る。ロマネスクやゴシック、ルネッサンスなどの様式を取り入れた修道院内は宗教美術館になっている。旧市街とレヴェリン要塞をつなぐ橋を渡り砲台に出ると旧港が望める。絵になる風景。
プロチェ門㊵を出てロープウエー乗り場へ。タクシーの運転手が寄ってきてロープウエー往復4人で600クーナのところを400クーナにするというのでタクシーでスルジ山頂へ。スルジ山は標高412m、山頂にはナポレオンが贈ったという白い十字架が立ち展望台になっている。アドリア海と旧市街の眺めは素晴らしい。ヴューポイントを求めて周辺を回り写真を撮る。山頂付近にはナポレオンが築いたという城壁跡が残っている。
タクシーでプロチェ門近くまで戻り、堡塁の連なるすごい城壁を見ながら北側のブジャ門㊸に行って入る。入ってすぐ左折し城壁際の道を東に向かって進む。正面にドミニコ会修道院の塔が見える。突き当たって右折し急な坂道を下るとルジャ広場に出る。
広場の南側に建つのは聖ヴラホ教会⓫で、聖ヴラホはドウブロヴニクの守護聖人。現在の教会は18世紀に建て直されたバロック様式のもの。斜め向かいには1516年建造のスポンザ宮殿❽が建つ。当初は税関だったが17世紀になり、その役割が減ると文化サロンへと変わった。現在は古文書館となっている。鐘楼脇の門から出て旧港⓮へ。かってはこの小さな港に世界各地と結ぶ交易船がひしめき合いドウブロヴニクの繁栄を支えていた。北は聖ルカ要塞、レヴェリン要塞、南はイヴァン要塞と防御に万全を期していた。二つの埠頭の間にある建物はアルセナル⓬という造船所。かっては巨大な複合施設を形成していたが、現在見られるのは三つのアーチのみとなっており、レストランが入っている。
総督邸脇のポンテ門から戻るとルジャ広場が細長く続いている。総督邸⓭はラグーサ共和国の総督の住居であるとともに行政を司るすべての機関が集まるドウブロヴニクの心臓部だった。15世紀初めゴシック様式だったが完成30年後に火災を受け、ルネッサンス様式による補修がなされた。その結果、ゴシックとルネッサンスが融合したダルマチア地方で最も魅力あふれるとまで評される。現在は文化歴史博物館として使われている。
広場の南端に建つ聖母被昇天大聖堂⓯へ。1192年に英国のリチャード王が創建したと伝えられるが、17世紀にバロック様式で再建された。祭壇の奥にイタリアの有名画家ティツィアーノの「聖母被昇天」が飾られている。
水族館㉙脇の城壁遊歩道入口から入り城壁巡り。城壁は全長940m、高さは最高25m。城壁から旧港を見ると丁度イエロー・サブマリンが出ていくところだった。レヴェリン要塞が城壁の外に突出した出丸であることもよく分かる。北側の城壁からはルジャ広場を囲んで鐘楼、聖母被昇天大聖堂、聖ヴラホ教会の三つのドームがそろって見え、絵になると思う。北西の隅がミンチェタ要塞㉛でここが最高地点。旧市街が見渡せる。西側の城壁沿いには空堀、フランシスコ会修道院❺、オノフリオの大噴水❹、聖クララ女子修道院㉞があり、上から見下ろせる。西南隅にあるボカール要塞㉚はピレ門の防衛用。目の前にロヴリイエナツ要塞㉝があり、これと呼応して海側からの侵入に備えている。南側の城壁は海沿いの断崖に築かれており、水浴、カヌーやボート引かれたパラシュートで空中散歩などを楽しむ人たちを眺めることができる。
13時10分から13時55分、旧港から遊覧船で周囲を一巡。城壁がすごいなとは思うがそれしか見えないので、風景としてはつまらない。
プラツア通りの北側、一本上のレストラン通りへ行き、「POKI TSAR」で軽い昼食を済ませ、今度は南側に向かう。ルジャ広場の西端からの路地を進むとグンドリッチュ広場⓰の青空市場がある。この先のバロック式階段を上ると聖イグナチオ教会の広場に出る。
聖イグナチオ教会㊹は1699~1725年にローマの聖イグナチオ教会をモデルにバロック様式で建てられた。祭壇の天井にはスペイン出身の画家ガエタ・ガルシアのフレスコ画が一面に描かれている。
聖イグナチオ教会を出てバロック式階段の途中で左折し、建物の下を潜り抜ける坂道を上ったり、細い露地を下ったりして進むとセルビア正教会㊲に出る。ラグーサ共和国時代は旧市街内に建てることを禁じられていたため、建てられたのはナポレオンの 征服によるラグーサ共和国消滅後の1877年。
セルビア正教会の前の通りを西に進むとピレ門を入った所の広場に出る。1438年に造られたオノフリオの大噴水❹があり美味しい天然の湧水を味わえる。北側救世主教会❸に並んで、14~15世紀にかけて建てられたフランシスコ会修道院❺がある。修道院のロマネスク様式の回廊の壁には、病める人々を癒す修道僧の姿が描かれている。現在の建物は1667年の大地震の後に再建されたものだが、中庭は14世紀のままで美しい。修道院内には1391年開業のヨーロッパで三番目に古い薬局があり、現在も営業を続けている。
再度城壁巡りをするという息子たちと別れ、青空市場のカフェで一休み。
17時にオノフリオの大噴水で息子たちと落合い、ピレ門を出てロヴリイエナツ要塞㉝へ。要塞は岬の岩山の頂上にあるので登るのが結構きつい。
旧市街に戻り、レストラン通りの「キャプテン」で夕食。通りはテラス席でほとんどふさがっているが楽しい雰囲気。ストン産の牡蠣は丸っこくて小振りだがレモンを絞ってかけると美味しい。魚介類の盛り合わせ等どれも美味しかった。青空市場に生牡蠣の有名な店があるが、魚介類が苦手なのがいるのでレストラン通りで生牡蠣も出す店を探した。
夕食で飲んだワインが美味しかったのでワインの店で同じものを探したが置いてなくて、ほとんど変わらないとお奨めのものを買う。
20時20分、ピレ門前からバスに乗ってホテルに帰る。バスはホテルの前で止まるので便利。
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(つづく)