3.三日目(5月4日(日))、コンブルク、ベーベンハウゼン、テュービンゲン、リヒテンシュタイン城、ホーエンツオレルン城
8時20分ホテル出発。コンブルクに寄った後、南西のベーベンハウゼン修道院を目指す。ネーッカー・ハウゼン付近では一面の菜の花畑と果樹の花盛りの丘が美しかった。
「コンブルク、ベネディクト会修道院」 F0 水彩 「ネッカー・ハウゼン付近、花の丘」 F0 水彩
ベーベンハウゼン修道院
10時30分、テュービンゲン北方6kmにあるベーベンハウゼン修道院に着く。1190年にフリードリッヒ1世によって建てられたシトー派の修道院。ロマネスクからゴシック、ルネッサンス、バロックと時代の変遷とともに増改築した建築様式が見どころ。
緑の塔のある入り口から入ると庭とその奥に立派な建物がある。ヴュルテンブルク国王の狩りの館として改築された旧修道院長館ではないかと思う。その横を抜けると正面に時計台、右手に大きな建物があり主屋らしい。1階は広間になっていて、有料で一般に利用されているとのこと。
大きな中庭を巡る回廊のリブアーチが美しい。聖堂内部は割合簡素だが、説教台の階段の装飾が面白い。食堂にはフレスコ画の壁画があり、集会室の天井や僧房の廊下には植物をモチーフにした装飾が見られる。裏手に出ると広い庭があり城壁跡などが見られる。12時40分出発。
テュービンゲン
テュービンゲンは人口の約4割が大学関係者という大学町。大学創立は1477年という長い歴史がある。ヘルマン・ヘッセ、ヘルダーリン、ヘーゲル、ケプラーなど数知れない有名人がこの町で青春時代を過ごした。パステルカラーの壁と木組みの町並みが美しい。
13時テュービンゲンの駐車場着。駐車場の料金支払いの方法を間違えてトラブル。通りかかった人に助けてもらって事なきを得る。ネッカー川に架かるエバーハルト橋を渡ると旧市街。ネッカー通りを進むとホルツマルクト(材木市場)に面してシュティフト教会が建っている。15世紀初頭に建設が始まり1490年に完成したが、尖塔は未完のまま。建設途中の尖塔に屋根を付けて無理やり完成させたのが1529年。ずんぐりむっくりした姿はそのため。その先を進むとマルクト広場。周囲を市庁舎や木組みの立派な建物が取り囲んでおり、中央にネプチューンの噴水がある。市庁舎は15世紀の建築。16世紀に4階が増築された際に1511年製の天文時計が取り付けられた。壁絵も特徴的。
市庁舎から左に進むとエバンゲーリッシェ・シュティフトがある。かっての修道院で、宗教改革後プロテスタントの神学校。その前で右手のブルグシュタイゲを上り詰めると高台にホーエンテュービンゲン城がある。
ホーエンテュービンゲン城の最も古い部分は11~12世紀頃に遡るが、現在のような形になったのは16世紀のころ。現在は大学、博物館として利用されている。城門の表側は修理中。城門を抜けて坂を上ると城館に到る。ここからの旧市街の眺めはなかなか。空濠に架かる橋を渡って入り口を入ると中庭がある。中庭の奥から裏側に出ると見晴らし台があり、ネッカー川と周辺の景色を楽しめる。
城の裏側からネッカー川へ降りる道が通じており、川では舟遊びを楽しむ人たちも多い。ネッカー川の中州はプラタナスの並木が美しい公園になっており、丘の上のホーエンテュービンゲン城や、詩人のヘルダーリンが住んでいた岸辺に建つ黄色い家などを眺めることができる。ネッカー川周遊を楽しむ人を乗せたシュトッハーカーンという素朴な木造船も行き来している。14時20分発。
リヒテンシュタイン城
天守閣のある本丸城館が断崖絶壁の上に建つ特異な姿から「妖精の城」と呼ばれる。12世紀頃に築かれた砦の廃墟が、1802年ヴュルテンブルク公国の侯爵フリードリッヒ2世の領地となり、1803年に狩猟の館が建てられた。1837年、この地を相続したヴュルテンブルク大公ヴィルヘルム・ウーラッハが19世紀ドイツロマン派の作家ヴィルヘルム・ハウフによる騎士物語「リヒテンシュタイン」の世界にあこがれて、中世の城を再現すべく1840~42年に建設した。
14時50分駐車場に着く。広い草地のなかの道を城へ向かう。草地には可愛い野草の花が一面に咲いている。城門を入ると左右に城館が建っている。ここから急激に深い谷へと落ち込んでおり、本丸のある岩山に対し天然の空濠となっている。時間の関係で本丸には入らなったが、熱心な蒐集者であった大公が集めた武器や甲冑が展示されているとのこと。隅櫓などもなかなか凝った作りで谷側のものは断崖雪壁の上に建っている。15時40分出発。
ホーエンツオレルン城
標高882mの山頂に建つドイツでも屈指の名城。プロイセン王家であるホーエンツオレルン家はこの地の発祥で、城は11世紀から1267年の間にはすでに建てられていた。2代目の城は30年戦争などを経て全壊し、フリードリヒ・ウイルヘルム4世がイタリアへの旅行の途中に、自らのルーツを見つめなおし、城を再建する欲求に駆られて再建を決めたのが現在の3代目の城。1867年にネオゴシック様式で建設された。ドイツ最後の皇帝の直系子孫が現在も使用しており、在城時には旗が掲げられる。雲海に浮かぶ「天空の城」として有名。
16時40分駐車場着。山道を登るとアドラー門に着く。城館はさらに上なので螺旋通路をぐるぐる回って上ると城館に囲まれた中庭に出る。
城の中を見学するためにガイドツアーに参加、ドイツ語の後で我々3人のために英語で説明してくれる。城館内は撮影禁止。広間の大きな壁面一杯に家系樹が描かれおり、カール大帝が祖ということになっている。ツアーが終わり、中庭から庭園へ行くと女性の鷹匠がいた。螺旋通路を通って稜堡に出る。城館をバックにたくさんの銅像が立っている。18時25分出発。
19時30分、オーベルンハイムのガストホフ・アドラーにチェックイン。夕食はビュッフェ形式で何種類もの肉料理があった。少しずついろいろの料理を味わったがなかなか美味しかった。
(つづく)