2:二日目(9月18日(金))続き、シュノンソー城、アンボワーズ城
シュノンソー城
ロワール川の支流・シェール川にまたがるように佇む優美な姿が「シェール川の宝石」と称えられる。世界遺産。建物は三つの部分からなる。まずは15世紀の城砦の唯一の名残であるマルク家の塔。昔の水車の橋脚の上に建つ城館は1513~21年建築の初期ルネッサンスの建築で、ゴシックの骨格にイタリア趣味の装飾を取り付けた特異なたたずまいである。最後は対岸にまで渡る橋上の三層建築で「橋上宮殿」と呼ばれる。1576~77年に一層のギャラリーが造られ、その後二層を積み重ねた。
18世紀の創建以来19世紀まで、代々の城主が女性だったことから「6人の女の城」とも呼ばれる。2番目の城主がアンリ2世の愛妾ディアーヌ・ド・ポアティエだったが、王の死後、正室カトリーヌ・ド・メディシスは積年の恨みを晴らすべくディアーヌを追い出し、3番目の城主となった。最も代わりに与えたのがほぼ等価値のショーモン・シュル・ロワール城であったので、円満な話し合いの結果だったとの説もある。
アプローチの長い並木道を抜けると両側にスフィンクス像のある入り口で、前面がぱっと開ける。一番手前にあるのがマルク家の塔。16世紀に城塞と水車を取り壊したときに塔だけが残り、ルネッサンス様式に作り替えられた。前庭は堀に囲まれており、左手前は舟寄になっている。
要塞となっていた昔の水車の橋脚の上に建てられた城館の方に進むと、丁度シェール川を遊覧船が通って行くところだった。
城館に入る。ルイ14世のサロンは1650年の訪問を記念して送られた王の肖像画などが飾られている。暖炉にはサマランダー(火トカゲ)とストート(オコジョ)が刻まれ、フランソワ1世とクロード王妃を表している。
衛兵の間には16世紀の暖炉、16世紀のフランドル派のタピストリーがある。
聖母マリアの像が上にある扉を通って礼拝堂に入る。入り口の上の高壇は王妃がミサに参列するための席。
緑の書斎はカトリーヌ・ド・メディシスが摂政としてフランスを統治した部屋。「馬の鈴草様式」と呼ばれる16世紀のブリュッセルのタピストリーは、ゴシックとルネッサンスの両方の様式を取り入れた作品。アメリカ大陸発見の影響を受け、それまでヨーロッパでは知られていなかった動物や植物を題材としている。
かっての図書室にはカトリーヌ・ド・メディシスの仕事机があった。格天井は1552年の制作。
ギャラリーは1576年、ディアーヌ・ド・ポアティエの作った橋の上にカトリーヌ・ド・メディシスの命により作られたもの。全長60m、幅6mの壮麗な舞踏会場だった。
ホールの天井はリブ・ボールトで形成され、付け根の花かご飾りは1515年制作でフランス・ルネッサンス期で最も美しい装飾彫刻の一つとされている。
アンリ4世の愛妾だったガブリエル・デストレの居室にはベッドの側に16世紀のフランドルのタピストリー、他の3の壁のタピストリーは大変珍しく、「ルーカスの月」として知られる。
5人の王妃の居室には16世紀の格天井があり、5人の女王の紋章を表している。暖炉はルネッサンス期の物。壁には16世紀のフランドルのタピストリーかかっている。
ルイーズ・ド・ロレーヌの居室は暗殺されたアンリ3世の正室の部屋。夫が暗殺された後、ここに引きこもり、瞑想にふけった。白の喪服を常に着用し、「白衣の王妃」と言われた。
3階のホールには19世紀に修復を行った当時の姿が残っている。
城を出ると左右に2つのフランス式庭園がある。左手にあるのがカトリーヌ・ド・メディシスの庭園。庭園の北側から高級レストラン・オランジェリーへと連なっている。向かい側にあるのがディアーヌ・ド・ポアティエの庭園。庭園が造られた当時の噴水が再現されている。
オランジェリーの先を進むと見事な16世紀の農場があり、菜園などを通って駐車場に戻る。
アンボワーズ城
ロワール川を見下ろす小高い丘に建つ王家の城で、元の城のごく一部のみ現存している。世界遺産。ガロ・ローマン時代から砦が築かれていた。11世紀の築城。1431年シャルル7世の手に渡り、1492年にフレンチ・ゴシック後期初めのフランボワイヤン様式で、次いで1495年にフランス建築では最初のルネッサンス様式の装飾のモチーフが取り入れられた。
城の庭園にはフランスで初めてイタリア風レイアウトが採用され、これがフランス式庭園の始まり。
1515年12月、フランソワ1世の客としてレオナルド・ダ・ヴィンチが招かれ、近くのクロ・リュッセで生活していた。城とクロ・リュッセは地下道で繋がっている。
17時30分、城近くの駐車場に着く。ウールトー塔から入り、傾斜通路を上がっていくと広場に出る。城館を背景に昔の衣装を着けた人たちが大勢たむろしている。そろそろ終う時間のようだ。
左手にサン・テュベール礼拝堂がある。1491~96年建築のフランボワイヤン様式の傑作とされる。レオナルド・ダ・ヴィンチの墓があるので有名。眼下にはアンボワーズの町並みが見下ろせる。
ロワール川の方に行くと、こちら側からの入り口ミニームの塔が見える。直径12mもあり、内部は馬や馬車でも上がることが出来る螺旋斜路になっている。
城館の城壁沿いの部分は「シャルル8世の翼棟」で後期フランス・ゴシック様式、これに直角に伸びる「ルイ12世とフランソワ1世の翼棟」はルネッサンス様式。時間が無く城館の中へは入らず仕舞。
庭園の方へ行くとアルジェの首長・アブド・アル・カーディルの鉄板に描かれた像がある。フランスの植民地化によっ1845年に降伏し1848~52年までアンボワーズ城に幽閉されていた人物。
傾斜斜路の突き当りにあるのはかってのオランジェリーで現在は売店になっている。ここからウールトー塔の斜路を下ってヴィクトル・ユゴー通りに降りる。昔の町並みが残る通りを進み町の城門から出てG・レクレア橋を渡り川向こうから写真を撮る。
19時10分、アンボワーズ近郊のホテル、シャトー・ド・プレイにチェックイン。昔の領主の館を利用したホテル。19時45分~22時30分の長時間の夕食。料理の出てくるのに時間がかかり、思わずこっくり。料理は美味しかった。
(つづく)