はじめに
2013年10月11~20日、北イタリアの湖水地方、中部地方のマルケ、ウンブリア、トスカーナ、リヴィエラ海岸を巡るドライブ旅行をした記録を絵日記にまとめた。
幸い天気に恵まれ快適な旅を続けられた。リゾート地として有名な湖水地方では邸館の庭園を中心に、中部地方では中世の面影の残る町や村を、リヴィエラ海岸ではチンクエテッレの絶壁に張り付くように築かれた村を巡る船旅を楽しんだ。
1.一日目(10月11日(金)、マッジョーレ湖:マードレ島、ベッラ島、ターラント邸庭園
10月10日21時55分成田空港発のAF0277で出発。プレミアム・エコノミーなので多少ゆったりしている。機内で夕食と朝食が出たがこれも多少良いように思う。
11日3時50分パリCDG空港に着陸。プレミアムラウンジで休憩。朝食を摂る。
7時15分発のAF1212でミラノに向かう。機内でも朝食が出、なんと朝食を3回取ったことになる。8時45分ミラノ、レナーテ空港に着く。
ハーツでレンタカーを借り9時40分出発。目指す方向への道が分からず戻ったりして時間を浪費。(R)A51、(R)A52、(R)A4/E64、(R)A8、A8DIR/E62、A26、SP167、SP39経由でマッジョーレ湖西岸のストレーザを目指す。
マッジョーレ湖
マッジョーレ湖はアルプス南麓に広がるイタリア湖水地方の一番西にある細長い湖で、イタリアで2番目に大きな湖。ボッロメオ家所有の三つの島が有名。
13時35分ストレーザのマルコニー広場に着く。ボートでマードレ島に向かう。右手にベッラ島が見える。
マードレ島
マードレ島は湖の東岸近くにある330m×220mの小さな島で18世紀建造のボッロメオ家の宮殿と庭園がある。島に近づくにつれて島の西側に建つ宮殿が見えてくる。波止場に建つのはレストランで、レストランのテラスを通ってボッロメオ宮殿と庭園への入り口、チケット売り場へ行く。
湖岸沿いの道を進み、宮殿の下を通り過ぎると左手に宮殿の中庭に通じる階段がある。枯れ木を模したアートが階段の中央に並んでいる。さらに進んで島の東側に出ると湖越しに対岸のラヴェノの町とアルプスの雪山が現れる。大変きれいな眺めで水彩スケッチ、パステル画はこれを描いた。
道路の脇には種々のコリウスの植え込みが続き、これもなかなかきれい。やがて船溜まりに出る。ボートが係留されているほか、舟を引き入れる建物の中に古い木造船が引き上げられていた。
湖岸を離れて庭園の路を進むと種々の鳥が放し飼いされている。雉のような姿をした色鮮やかな鳥やクジャクが沢山いた。後でわかったことだが椿の庭として有名で、150種以上の椿があるという。犬のアートが並べられた緩やかな階段を上がると高台に出、木立が途切れて湖を見晴らせる場所の樹上に展望台のようなものが設えられていた。色鮮やかなパネルで構成されておりこれもアートなのかもしれない。その先の広場には立派な鳥小屋が建っていて小鳥が飼われていた。
さらに進むと宮殿の前庭に出る。ここにも張り巡らされたロ^プにアートが吊り下げられていた。
ボッロメオ宮殿は18世紀に建造されたもの。宮殿の中を通り抜けてチャペル等と結ぶテラスに出る。
テラスの下は中庭になっており中央に睡蓮のプールがある。その先に先ほど見かけた湖岸の路に通じる階段がある。
チャペルは小さなものだが結婚式を挙げることもできるようで庭の写真を撮っている新郎新婦のカップルがいた。チャペルの横は元オランジェリー(温室)と思われる。今は売店として使っているようだ。
宮殿の横を通って進む。宮殿の南側にはヤシの並木があり、種々の花が咲き乱れている。宮殿の西側は広い芝生の庭になっており、その中を進むと波止場に通じる坂道に出る。丁度やって来たボートに乗り込む。
ベッラ島
ペスカリー島(漁師の島)の西側を通ってベッラ島の船着き場に13時に着く。ベッラ島は320m×180mの小さな島。豪華な宮殿とバロック庭園で有名。
船着き場から土産物屋やレストランの続く湖岸の道を進むと宮殿の凹字形の中庭に出る。湖岸には波止場があり、この中庭にアプローチしていたようだ。波止場に可愛い大砲が据えられていた。
宮殿脇の道を進み北側正面に行ったが、入り口が閉ざされているので中庭に戻り、ここから入って宮殿を抜け庭園へ行く。宮殿南側から出ると中庭になっていて、正面両脇に庭園への階段がある。階段を上がり、温室を通り抜けるとバロック庭園への階段がある。
階段状のバロック庭園は1631~71年にかけて造園されたもので、おそらく島の小高い丘を利用したものと思われる。入り口を入って正面の階段を上がると左右に広い芝生の広がる劇場広場に出る。正面にピラミッド状のマッシモ劇場があり、彫像、オベリスク、噴水が植物と調和している。一番上にボッロメオ家の紋章であるユニコーン(一角獣)の像が建てられている。
脇の階段を上るとテラスに出る。テラスの先端、南斜面は10段の階段状テラスになっていて下の庭園へ下っている。
引き返して左下の庭園へ下る。ここにも白いクジャクが放し飼いされている。南側に回り込むとパビリオンがあり、現在は売店になっていた。階段状庭園は彫像やオベリスクで飾られ堂々としている。引き返して東の湖岸に出るとマードレ島が見えた。そのまま進むと庭園北東隅に鳥小屋がある。
庭園を出て、宮殿から出た中庭から上がった階段の上から出口に向かう。出口を出て集落の路地を通っていくと凹字形の中庭に出た。
バロック建築の傑作として知られるボッロメオ宮殿は1632年に建設開始、ペストの流行で一時中断されたが、400年ほどかけて完成されたもの。内部は豪華絢爛たるものだというがパス。宮殿の北正面の先にある公園に行く。ここからはペスカトーリ島が目の前に見え、なかなか見ごたえがある。水彩スケッチとパステル画はこれを描いた。
引き返してチャペルに寄り、集落の路地を通って船着き場に戻る。古いボートを植木鉢用の棚にするなど歩いていて面白かった。
ベッラ島を15時30分出発。ベッラ島からストレーザの船着き場まで10数分の距離だが、南側の階段状庭園の様子がよく見えた。
15時45分ストレーザを出発、SS33、SS33RACC/SP167、SS34経由でターラント邸庭園を目指す。
ターラント邸庭園
ニール・マクイーチャン船長によって造られた16haもの広大な植物園。ターラントの名称は彼の祖先であるターラント公爵に因んだもの。1930年に土地を購入した際、「世界中の貴重な植物を豊富に集めた植物園を作る」という計画を立て、世界中を旅して種子や植物を集めて回った。1931年にヴィラを購入しイングリッシュガーデンとして1940年に完成した。
16時に着き、入り口を入ると真っ直ぐな道が伸びている。これを進むとプッティの噴水❶に出る。周囲を飾る彫刻のためにそう呼ばれた。ここで右折して進み、左手のイタリア庭園の脇を過ぎるとダリアの迷路❷に出る。道はくねくね曲がっているが迷路というものでもない。各種の色とりどりのダリアが咲き乱れている。美也子は写真を撮ろうとしてカメラアングルを決めるのに後退しているうちに畝に足を取られて仰向けに転んだ拍子に手首を痛めた。シップを張り応急処置をしたが骨折しているのではないかと心配。
ここを過ぎて進むとヴィクトリア温室❸に出る。温室の前にハート型に花壇が設けられていた。ここから回れ右して霊廟への道を進む。紅葉が始まっている。霊廟❹は船長の遺言により1965年に建てられたもの。
先に進み石橋を過ぎてさらに進むと広い芝生の向こうにヴィラ❻が見えてくる。噴水もあってなかなか美しい風景。ヴィラはノルマンディ建築に触発されたスタイルで1853年に建てられたもの。船長はこれを1931年にこれを購入した。ヴィラはプライヴェートなので見られないが外回りを見て回る。
ここから左手へ進むとテラスの庭の下側に出る。中央を水路が通っていて終端は水が溢れて流れ落ちている。右手へ進むと蓮の池、水連の池があり、丁度花を咲かせていた。ここから左へ進むとテラスの庭の上側に出る。水路の両脇には通路と噴水のある庭が設えられていて色鮮やかな花壇がある。遠くにヴィラも見える。水彩スケッチはこれを描いた。水路の先端には漁師の像が据えられている。
テラスの庭から順路に従って進むと四角いプールのある庭に出る。脇に冬の庭(温室)が建っている。ここから引き返し九十九折の坂道を通って入り口に戻る。
SS34、A13、A2/E35、S340経由でメナッジョへ向かう。カーナビはうるさくフェリーの使用を薦めるが無視して湖畔の道を北上。曲がりくねった道を対向車が猛スピードで通り過ぎるので恐ろしいこと。スイスに入りルガーノを経由してコモ湖西岸のメナッジョに着く。
グランド・ホテル・メナッジョにチェックイン。食堂でアラカルトを希望したら別の部屋に案内される。食堂はコース料理だけのようだ。
(つづく)