2.二日目(10月12日(土)、メナッジョ、カルロッタ邸、バルビアネッロ邸、メルティ邸、シルミオーネ
メナッジョ
朝起きたらあいにくの雨。朝食前にベランダからコモ湖の風景をスケッチ。コモ湖はその美しさと美しい環境で有名。長年にわたり貴族や富豪層の憩いの場として人気を博して来た。ヨーロッパきっての避暑地として知られ、湖畔にはヨーロッパの各王室や富豪の館が建ち並んでいる。
9時30分出発。今日はコモ湖周辺の館巡りで、まずSS340経由でトレメッツオのカルロッタ邸を目指す。
カルロッタ邸
17世紀に銀行家のクラリチ伯爵の別荘として今の姿になった。19世紀にソンマリーヴァ伯爵の手に渡り、庭を改修したり美術品の収集が行われた。その後マリアンネ公爵夫人の手に渡り、7haの広大な敷地内に植物園が造られた。結婚祝いとして娘のカルロッタにプレゼントされカルロッタ邸となった。テラス状の植栽帯、豊富な水と巧みな高低差を使った噴水、大理石彫刻の見事さ、鮮やかな花の色といったイタリア式庭園の特徴すべてを備えた名園として知られる。日本のツツジ、シャクナゲ、ツバキのコレクションが有名で、日本を思わせる竹林もある。9時40分到着。正門の前を通り過ぎて入り口へ。凝ったデザインの正門の向こうにイタリア庭園、館が見える。水彩スケッチはこれを描いた。
入り口でチケットを買って入り、右折して真っ直ぐ進むとイタリア庭園❶に出る。4段のテラス状植栽帯の上に17世紀末に建てられた新古典主義様式の館が聳えている。階段を上り、3段目のテラス端の階段を上ると館の側面の広場に出る。館は美術館になっているがパス。
玄関向かいに壁龕があり周りは椿の庭❷になっている。あいにくの雨の中、庭を回る。東北に向かって進むと左手に緑の劇場❸、ロックガーデン❹と続く。
ロックガーデンを過ぎると右手は広い芝生の庭になっていて湖の眺望が開けるが、霞んでいてよく見えない。その先のシダの谷❺を過ぎ、斜め左の道を進み、シャクナゲの森❼を過ぎると、少し開けた芝生の庭に花壇の赤い花が鮮やか。庭の一番奥に農具の博物館➓がある。
引き返して右手の一番上の道を進み、ピクニック・エリアを過ぎると竹の庭❽がある。鳥居など日本趣味の表れか?
ここから下って館へ戻り、館の玄関脇を通って古い庭❾に出る。その先に塔⓫があるが塔と呼ぶには低い建物。引き返してエレベーターを乗り継いで入り口から出る。入り口の建物はドームの乗った立派なもの。
SS340経由でレンノのバルビアネッロ邸に向かう。
バルビアネッロ邸
18世紀末にドウリーニ卿のためにフランシスコ会修道院跡地を整備して夏の別荘として建てられた。木々の生い茂る岬の先端に位置するので歩くとかなりの道のりだった。雨が上がって助かる。
入口の門を入ると右脇に建物があり、ここが敷地内での最高地点。前方下にロッジアが見える。この建物の下の道を進むとロッジアに到る。
ロッジア②はアーチと柱によってつくられた廊下状空間で、デザイン的要素の他に、夏は涼しい風に当たることのできる休憩所としての役割も持っている。バルビアネッロ邸のロッジアは蔦が生い茂り、優雅で独創的な雰囲気が人気。
ロッジアの北側からは下の庭園が見下ろせ下り坂の折り返し点には祠がある。ロッジアの横、館③との間はテラスになっている。ここから引き返してくるとロッジアと入り口方向の眺めが素晴らしく水彩スケッチはこれを描いた。
その先を下っていくと断崖の迫る入り江の眺めがなかなかなので水彩スケッチにした。下の道を進みチケットオフイスへの路との交差点辺りに来ると二本の塔が見えてくる。元修道院の鐘楼として使われていたものでバルビアネッロ邸のシンボルマークとして親しまれている。コモ湖を行き交う船が湖上の位置を確認する目印にもされているとのこと。
下を見ると船着き場⑤が見える。右手の道を下ると湖畔のテラスに出る。テラスの左手すぐ先に船着き場が見える。引き返して船着き場上のテラスに行く。元修道院の教会前広場とつながっており、教会横に船溜まりへの下り道がついている。
ここからロッジアの方へ引き返し、下の庭園への道を下る。下りきると崖の上のロッジアを仰ぎ見る形になる。下の庭は広い芝生で大きく枝を張った樹が印象的。下の庭園の突き当りにチケットオフイス④の入り口がある。中には売店がありここを抜けると教会横の庭に出る。船で到着するとこちらからチケットオフイスに入ることになる。
船着き場へ下り、やって来たボートに乗り込む。ボートからバルビアネッロ邸の眺めを楽しみながら駐車場近くの船着き場に着く。帰りはボートを利用したので楽だった。
SS340をカデナビアまで戻り、13時40分発のフェリーに乗り込む。フェリーがやって来る後方にこれから行くメルティ邸が見える。フェリーの向かう先はベッラージオ。途中右手、岬の先端にバルビアネッロ邸が見えた。
メルティ邸
館と庭園はどちらも19世紀初頭にイタリアの侯爵の夏の別荘として建造されたもの。
ベッラージオの船着き場近くの駐車場から湖畔の道を進むと入り口の門が見えてくる。
門を入ると左手にグロットの入り口が見えるが湖畔の道をまっすぐ進む。通路脇の芝生にローマ時代の彫像が据えられている。ありがたいことに晴れて来て対岸の様子もよく分かる。昨夜一泊したメナッジョの町の後方に雪を頂いた峰が見えてなかなかいい。
やがて右手の湖畔に建つムーア様式の寺院の前に出る。八角形の建物で内部には四体の胸像が置かれている。水彩スケッチはこの建物を描いた。寺院の向かいにはゲーテとベアトリーチェ像が据えられている。
湖畔の道をかなり進むと前方に館が見えてくる。館の手前左手上に博物館が見える。館の前には湖岸のテラスがあり、浜に下る階段がついている。館はネオクラシック様式の建物。
館の横には広い芝生の庭が広がり、湖畔には古い時代の木造船が飾られている。その先に船着き場が突き出ている。
そのすぐ先、左手にチャペルがあり、中央にドームが架かっている。チャペルの横を通って進むと館の裏側に出る。右手は土留めになっていて、その上の一段高くなった通路を進むと博物館に到る。
博物館は元はオランジェリーだったと思われ、光がさんさんと入って明るい。フレスコ画や収蔵品が展示されている。
博物館を出て先に進むと東屋があり、芝生の庭になっている。これを過ぎると九折の路になり、これを下ると池の周りに紅葉などを配した和風?の庭に出る。アールヌーボー風の欄干のある反橋が架かっている。その先にグロットの入り口があり、この中をくぐり抜けると門を入った所の広場に出る。
コモ湖の南東に伸びる部分はレッコ湖と呼ばれているが、この湖畔沿いの道をSS583、SP72、SS639、SS671、A4/E64、SPBS11経由でシルミオーネを目指す。
シルミオーネ
イタリア最大のガルダ湖の南湖畔から4km、北に突き出した細長い岬の突端にある街。温泉保養地としてローマ時代から有名。町の入り口にはスカラ家の城塞が聳えている。
町に入る城門の橋の手前に検問所があり、外来者の車は宿泊先を告げ確認されてから通行許可が下りる仕組みになっている。ホテル・コンチネンタル・シルミオーネにチェックインを済ませ、街の散策に出かける。
ホテルの前のプンタ・スタッファロ通りを進むとディアッチ広場に出る。ここで道が二手に分かれるが、町のメインストリート、ヴィットリオ・エマニュエル2世通りを進む。
しばらく行くと先ほど分かれたG.ピアナ通りとの合流点に出る。二つの道路に挟まれた家にブーゲンビリアの花が見事だった。左手はサン・サルヴァトーレ通りだが、右手のポルト・ヴァレンチーノの方に進み湖岸まで行く。丁度ガルダ湖の入日が見られ良かった。ここの桟橋からホテル・コンチネンタルが良く見えた。ここの湖畔に面したテラスのある庭はピンクの花や紅葉がきれいだった。
引き返して先に進むとすぐに町の城門のあるフラミニャ広場に出る。広場は城門前から湖岸まで続いている。
城門を入って、しばらく行くと右手にカルドック広場があり、広場の先には船着き場がある。そのまま進むとカステッロ広場にでる。左前方にスカラ家の城塞が聳えている。
カステッロ広場の店ではテラス席が客で賑わっていた。城塞の濠の横にある町の城門脇にチャペルがある。
町の城門から出ると左手に城塞の跳ね橋があり、ここに至る通路の両側は塀で囲われている。ここまで来るとこの城塞の特徴である船溜まりを囲った城壁が見える。ここを拠点に湖を支配していたのだろうと思われる。
旧市街へ引き返し、ダンテ通りを進んで北の城壁から外に出る。城壁沿いに進むとサンタ・マリア・マッジョーレ教会があり、ここからアンティーク・ミューラ通を進むとフラミニャ広場前の城門に出、元来た道をホテルへ戻る。
ホテルの食堂で夕食。タルタルや魚介のフリットなど美味しかった。
(つづく)