9.九日目(7月14日(土)、ロータレ高山植物園、ボンヌバル・シュル・アルク、イズラン峠、ミオラン城
夜半から雨。山が雲の覆われてスケッチを断念。朝食を済ませて出発。D1091でラ・グラーヴェへ向かう。相変わらず山は雲に覆われているが、雲の切れ間から氷山が見えた。肝心の山が良く見えないので、ラ・グラーヴェの先で引き返しロータレ峠に戻ってロータレ高山植物園へ行く。
ロータレ高山植物園
ロータレ高山植物園は1899年に峠のホテルのオーナーの助力を得てグルノーブル科学大学によって造られた。最初の植物園は峠にあったが、1919年にカリビエ峠への新しい道路を建設するために移設された。
この地に高山植物園が造られたのは、この地の気候の影響と地質学的な多様性が、ほとんど1500種に及ぶ特別な高山植物の多様性を生み出していることにある。
また、ロータレ峠は高山へのアクセス容易な観光道路の交差点にあるためでもある。
園内に入ると一面の花々に感嘆する。掲載する写真は一部にとどめたが、珍しい花が多く写真を撮っているときりがない。時間が無いのでゆっくり見て回る余裕がないのが無いのが残念だった。
D902でカリビエ峠に着く。サイクリングを楽しむ人たちがいた。D902、N90、D902経由でボンヌバル・シュル・アルクへ向かう途中、フランス自慢のTGVが通り過ぎるのに出会った。
ボンヌヴァル・シュル・アルク
イタリア国境、標高1800mの山間の村で「フランスの最も美しい村」認定。ヨーロッパで最も高い峠の一つである標高2770mのイズラン峠の登り口で、アルペンスキーのメッカ。ヴァノワーズ国立公園の中にある。屋根を平たい石で葺いた16世紀の石積みの民家が見事に保存されている。電線やテレビアンテナはすべて地下に埋設されている。
村の入り口に古橋⑱が保存されている。川の流れが変わったので橋の前にはプールが造られている。古橋からすぐにチャペルがあり、この横の路から集落に入る。すぐ広場に出、正面に宿屋⑫が建っている。石積み、石葺きの建物で恰好が良い。広場の右手に記念碑が建っている。水彩スケッチは宿屋を中心に広場を描いた。
広場の入り口左手にパン屋①がある。パン屋の横の道を教会へ向かって西に進む。ノートルダム・ド・ラサンプション教会は1532年の設立で、1869年に拡張工事が行われた。鐘楼は1646年の建造。教会隣の広場には泉があり、その奥に地方芸術博物館❻が建っている。
広場へ引き返す。教会もそうだがここの建物はすべて石積みで石葺き。丁度、石葺き屋根の葺き替え中の家があった。広場を通り越して進み、古橋からの路に出て、古橋の方へ戻る。チャペルの手前にレストラン㉓があった。
村は三つの集落に分かれているが、古村と呼ばれている集落だけにしてD902経由でイズラン峠に向かう。山を登っていくとアルプスの山々が面前に迫り、ボンヌヴァル・シュル・アルクが眼下に見下ろせる。
イズラン峠
イズラン峠は標高2770m、峠としてはアルプス最高点。峠の標識の他に大きなマリア像が壁面に取り付けられたノートルガム・ド・イズラン礼拝堂と土産物屋がある。
D902、N90、D1090経由でミオラン城を目指す。峠を出てしばらく行くとボンヌヴァル・シュル・アルクが眼下に見える。何処か分からないが、深い谷の崖の上に修道院のような建物が見える。やがてミオラン城が見えてくる。急峻な山裾の高台に細長く伸びる城塞。
ミオラン城
ミオラン城は11世紀建造の城塞の廃墟だが建物の状態は結構しっかりしている。本丸跡が庭園として整備されている。
18時駐車場に着く。城下の集落の前を進むと城門が見えてくる。
城門を入って外廓を進み、丸い塔の脇にある城門を入ると二の丸で、右手にあるトンネルを進んで周り階段を上ると城館の1階に出る。
外に出ると本丸の庭園が広がっている。城の南側は崖になっているので城壁から眺めると広々とした田園風景が広がっている。南西隅にある角塔に登ると庭園と天守閣のある城館の様子がよく分かり、立派だった城の様子が偲ばれる。水彩スケッチはこれを描いた。
角塔を降りて城館へ行き、内部を見て回った後、下層部の屋上を伝って北の内側城壁へ行く。城門と城下の様子がよく分かる。
駐車場に戻り、18時40分出発。A43、A41経由でアヌシーを目指す。
アヌシー湖畔をドライブした後、ノヴォテル・アヌシー・セントレ・アトリアにチェックイン。窓からアヌシー駅が眼下に見える。
(つづく)