4・四日目(7月9日(月))、ラグラッセ、ペイルペルテュース城址、ケリビュス城址、コリウール
朝食前にホテルの前庭からカルカッソンヌの城壁をスケッチする。8時30分出発。D6113,D3を経てラグラッセを目指す。この辺りはラングウッドワインの産地で葡萄畑が続いている。
ラグラッセ
カルカッソンヌの南東約30km、ピレネー山脈の麓、オルビュー川の渓谷にある。フランス最大のワイン生産地であるコルビエールの赤ワイン産地。「フランスの最も美しい村」認定。
10時駐車場に着く。村を取り巻く大通りを通ってオルビュー川に出る。橋の上からの古橋とサン・マリ・ドルビュ修道院の眺めはなかなか良い。水彩スケッチはこれを描いた。左手の村の家屋が城壁の役をなしていたことがよく分かる。
古橋を渡って村に入る。古橋の車止めの頂部に村の標識が取り付けられていてしゃれている。村の家屋はほとんどスペイン瓦葺き。最初の道を右折して進むと市場広場に出る。ここが一番賑わう場所なのだろうけれど誰もいない。
家屋はほとんど石造りだが木組みの建物も残っている。川岸に出ると川向こうにサン・マリ・ドルビュ修道院の堂々とした姿が見える。時間の関係で修道院に寄るのはパス。その先に城門があり、ここから先左手に中世の城壁の遺構が続いている。
村に戻り、サン・ミッシェル教会への道を進む。前方左手に教会の鐘楼が見える。教会は大きなものではないがごつい感じがする。
教会入り口前の道を進み、最初の道を左折して進むと村を出て外周の大通りに出る。城壁を兼ねていた家屋は店となり、その前は車道より一段高いテラス上の遊歩道で並木が続いている。観光案内所で資料をもらう。
1時30分出発。D212、D1610、D10、D14経由でペイルペルテュース城址に向かう。
ペイルペルテュース城址
くねくねした山道を辿る。途中カタリ派の城址らしい廃墟を見かける。やがてペイルペルテュース城址が見えて来た。
ペイルペルテュース城址は地元有力者の抗争の地、アルビジョワ十字軍に対するカタリ派の拠点、その後フランス王家所有のフランス対スペインの国境警備最前線であった、中世に「カルカッソンヌの五人の息子」と呼ばれた難攻不落の城の一つ。標高800mの岩盤を活かして造られた300mの城壁がある。
城の麓の駐車場から見上げると、覆いかぶさるようにそそり立つ姿の迫力に圧倒され、よくもこんなところに石を運び上げて築いたものだと感嘆する。水彩スケッチはこれを描いたもの。
山道を15分くらい登って城の入り口③に着く。防御施設が巡らされている。中に入ると結構広い空間が広がっている。右手にあるのが旧天守閣とサン・マリ・チャペル⑧。その少し先の右手にあるのが主建物⑥で、中に入ると天井は無く、壁越しに旧天守閣が見える。戻って旧天守閣の中庭⑦に入り、サン・マリ・チャペル、天守閣内部を見て回る。
旧天守閣の防御砦④から下の城郭を出ると広場があり、前方に上の城郭が聳えている。広場では鷹匠のショーが行われていた。その先を進むと右手に多角形の城郭⑩がある。
その横を通ってさらに進むと、長い石段が続いている。セント・ルイスの階段とサン・ジョルディへの通路⑪と呼ばれている。この石段の登りはかなりきつい。帰りにこの石段で足を滑らせ危なかった。
城門から階段を上ると上の城郭に出る。こちらはかなり狭い。前方にサン・ジョルディ・チャペルが見える。
入った辺り右手の壁にベンチ付きの窓⑫や、その先に口の開いた塔⑬がある。先端にある建物にサン・ジョルディ・チャペル⑮がある。
前方を見下ろすと尾根に沿って下の城郭や多角形の城郭が眺められ、その規模の大きさがよく分かる。後方を振り返ると上の城郭の全容が眺められる。もと来た道を下って駐車場に戻る。
13時7分出発。山の麓のククニャンに寄り村の写真を撮る。風車などがあってなかなか面白そう。駐車場そばのシャトー・トリロールでワインを買う。金賞を受賞した赤ワインが15€と結構安い。
D123経由でペイルペルテュース城址から10kmほど離れたケリビュス城址へ向かう。
ケリビュス城址
標高730mの頂上に立つ「カルカッソンヌの五人の息子」の一つ。カタリ派最後の拠点だったが1255年に降伏した。
14時16分駐車場に着く。休憩所でアイスキャンディを買って一休み。城への登り道はかなりきつそうで、時間の関係もありパスすることに。D19、D117、A9、D900、D914経由でコリウールに向かう。
コリウール
スペインとの国境にほど近い南フランスの観光地。この地に城が築かれたのは673年と歴史は古い。17世紀後半までスペイン領であったため、スペインの伝統と文化が感じられる港町。
1905年画家マティスはアンドレ・ドランを伴ってコリウールを訪れ、「チューブから出したそのままの色」を用いて猛烈に制作に没頭した。発表した作品は「まるで野獣(フォーブ)のようだ」と批判され、野獣派(フォービズム)の始まりとなった。マティスが変貌を遂げた地として知られる。
15時30分頃、大混雑の中アヴァール塔のあるアヴァール港広場で駐車場探しをしていて停車中のバスの後部に右前をぶつけてヘッドランプカバーを損傷。警察官の調べに時間がかかる。解放されて王城の駐車場に入る。
王城の海側へ行くと壮大な城壁の向こうに天使の聖母教会が見える。向かいのボウティギュ浜の山頂には1552年にスペイン王カルロス1世によって築かれたサン・エルモ城塞がある。
城壁に沿ってコリウールの市街へ進むとミラドウ要塞が見える。干上がった川沿いのカミュー・ペルタン大通りを進むと6月18日広場前に架かる橋の向こうに王城が見える。そのままボマラ大通りを進むと左手に観光案内所があり、町の地図をもらう。ボマラ大通りはボマラ浜に面して賑やかなところ。前方に天使の聖母教会が見える。
メリー通りから市街に入るとカラフルな街並みが続く。奥に行くほどに住宅地となるが、どこも清掃が行き届いていて静か。一回りして教会広場に出る。建物の間から北浜が見える。
天使の聖母教会は1684年建造の南仏ゴシック様式の重厚な外観の建物。中世に造られた三方を海に囲まれた鐘楼を持つ。かっては灯台の役目を持っていたが、教会本体の建設に伴って鐘楼となり、1810年に丸屋根が加えられた。
教会の奥の突堤を挟んで北浜とサン・ヴァンサン浜があり、突堤の先端にサン・ヴァンサン・チャペルが建っている。
来た道を引き返し、ボラマ大通りを王城へ向かう。石畳の道にはマンホールにも絵が描かれていて面白い。昔の古い大砲なども飾られている。
王城は1276~1344年に建てられたもの。1642年にスペインが撤退した後に、ルイ14世によって大改修がなされ、1922年に歴史的建造物に認定されてからさらに徹底的な改装が行われた。
王城の中から眼下の港越にボラマ浜、天使の聖母教会が眺められて大変美しい。水彩スケッチはこれを描いた。
王城下のアヴァル港の浜沿いに駐車場に戻り、車でボウティギュ浜へ行って市街の様子を写真に撮る。
周辺の葡萄畑の中をドライヴした後、D81、D814経由でカネのグランド・ホテル・レ・フラマンテ・ロゼにチェックイン。
夕食で隣の席に母親が日本人の家族と日本人のお爺ちゃんが居合わせ、坊やに上手な日本語で写真を撮ってほしいと頼まれる。お返しに坊やがこちらの写真も撮ってくれる。
前菜に生牡蠣があったので注文する。美味しかった。
つづく