旅の絵日記:2018年イタリア、スロヴェニア、クロアチア 8

8.八日目(9月21日(金))、スプリット、メシュトウロヴィッチ美術館、パグ島、プリトウヴィツエ湖群国立公園

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八日目旅程:スプリット→メシュトウロヴィッチ美術館→パグ島→プリトウヴィツエ湖群国立公園

スプリット

 スプリットはアドリア海沿岸最大の港町。ローマ皇帝ディオクレティアヌス(245?~316?年)の宮殿がそのまま旧市街になったという珍しい起源をもつ町で世界遺産

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スプリット旧市街地図             青空市場             グルグール・ニンスキ像

 7時30分、旧市街観光に出かける。ホテルを出てすぐ、跨線橋を渡った脇に青空市場がある。朝早いのでまだ人出は少ない。青空市場を抜けると東の銀の門の前に出る。そのまま城壁沿いに進むと左手に緑豊かなストロスマエル公園。公園の中を進むとメシュトウロヴィッチ作の巨大なグルグール・ニンスキ像が立ち、その前が北の金の門。グルグール・ニンスキの足の左親指に触ると幸運が訪れると言われており、そこだけピカピカ。

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金の門              ペリスティル、正面は皇帝私邸入り口           皇帝のテラス

 金の門から入って狭い通路を進むと、旧市街の中心地ペリスティルという広場に出る。正面に皇帝私邸入り口、左手に大聖堂と鐘楼がある。ディオクレティアヌス帝の宮殿はペリスティルの北が兵舎、南が皇帝私邸になっていた。東側に銀の門が見える。鐘楼の横を抜けると皇帝のテラスで、宮殿の地下の中庭を見下ろすことができる。

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「スプリット大聖堂」 F0 水彩

 大聖堂はもともとはディオクレティアヌス帝自身の霊廟として建てられたが、後にキリスト教の教会として利用されるようになった。内部に入ると8本のコリント式柱が円形に配置されている。かって中央部に置かれていたディオクレティアヌス帝の石棺は後に破壊されて残っていない。内部はそれほど大きくはないが聖スタシュの祭壇など貴重な宗教美術品で埋め尽くされている。入り口のオーク材の扉も13世紀に造られたもので、ロマネスク様式の彫刻の傑作として名高い。

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大聖堂内部                聖スタシュの祭壇                  入り口扉

大聖堂に隣接して、中世に加えられたロマネスク様式の鐘楼に登る。階段の蹴上がやたらに高いところがあって上るのに苦労する。頂上からの眺めは素晴らしく、苦労して登った甲斐がある。南側には港や先ほど行った皇帝のテラスなどが見える。西側には正面に洗礼室、右手に鉄の門、左にヴェネツィア時代の砦跡などが見える。

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鐘楼から西側の眺め               南側                       前庭

 鐘楼を降りてすぐ前の皇帝私邸入り口を入った所が前庭で皇帝私邸の玄関だった。現在は天井が抜けているが、かってはモザイクで装飾されたドームで覆われていた。

 大聖堂から西に進むと洗礼室がある。もともとはディオクレティアヌス帝によってユピテル神殿として建てられたものを後に改築したもの。天井は美しい文様の彫刻が施されており、中央に置かれた洗礼盤には中世クロアチア王国の国王像が彫られている。洗礼者ヨハネの像はイヴァン・メシュトウロヴィッチの作。

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洗礼盤と洗礼者ヨハネ              洗礼室の天井              西の鉄の門外側

 ペリスティルに戻り西に進む。狭い通路の両側の建物が傾いできたのか補強している。西の鉄の門を出るとゴシック様式の市庁舎やルネッサンス様式の邸宅が並ぶナロウドニ広場。ナロウドニ広場から南に進むとブラチャ・ラディッチ広場に出る。広場の南側にヴェネツィア時代の砦跡、中央にメシュトウロヴィッチ作の15世紀の詩人マルコ・マルリッチ像が立っている。

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ナロウドニ広場            ブラチャ・ラディッチ広場              プロムナード

 広場を出ると海岸の大通りプロムナードが伸びている。これを西に進むとフラニェ・トウドウマナ広場に突き当たる。手前北側に共和国広場があり、ルネッサンス風の回廊に囲まれた美しい広場だ。

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ラニェ・トウドウマナ広場           共和国広場             マルモントヴァ通り

 共和国広場の東側の通りがショッピング・ストリートのマルモントヴァ通り。この通りを北に進むと魚市場がある。いろいろな魚が並び、大勢の人が買い物していた。魚市場を後にナロウドニ広場、鉄の門、銀の門を通ってホテルに戻る。10時15分ホテル出発。

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魚市場                  ナロウドニ広場                  鉄の門入口

メシュトウロヴィッチ美術館

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「スプリット近郊、メシュトウロヴィッチ美術館」 F0 水彩

 11時着。イヴァン・メシュトウロヴィッチ(1883~1962年)はクロアチアの有名な彫刻家で多くの広場などに作品が展示されている。今日もすでに3作品に出合った。美術館の建物は、もともとは彼自身の家兼アトリエとして建てられたもので、設計にも彼自身がかかわっている。駐車場が見つからず手間取ったのと、入場券を入り口で買ってこなければならないとのことで、時間の関係もあり、庭の彫刻だけを見て中に入るのはパス。11時10分出発。

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メシュトウロヴィッチ美術館入口        美術館前の浜              パグ島南端の砦跡

パグ島

 13時30分、島へ渡る橋の袂に着く。あたりは草木もなく真っ白に見える。島に渡ったすぐの所に砦の廃墟があり、狭い海峡をにらんでいる。この島では痩せた塩気のある草を食べて育った羊のチーズが美味で島の名物。チーズ工場の売店で買おうとしたが、日持ちしないので駄目と言われ諦める。14時40分島を出る。

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「パグ島、鳥での廃墟」 F0 水彩

プリトウヴィツエ湖群国立公園

 16時10分、入り口2(ST2)の駐車場に着く。9月6日には下湖群しか回れなかったので、今回は上湖群を回る。公園最大のコズイヤク湖の船着き場P1から船に乗り、すぐ向かいの船着き場P2へ渡り、桟道に沿って歩く。いくつかの小さな湖は高さが違うので随所に滝やカスケードが見られる。長く伸びた草の根を伝って流れ落ちる滝もある。

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上湖群地図               P3からの船が近づいてくる        草の根を伝って落ちる滝

 しばらく行くとグラディンスコ湖に出る。左前方にヴェリキ・プルシュタヴツィが見えてくる。幾筋もの滝がベールのように流れ落ちる、公園内でも最も優美な滝とされる。

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「プリトウヴィツエ湖群国立公園、上湖群ヴェリキ・プルシュタヴツィ」 F0 水彩
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グラディンスコ湖           ヴェリキ・プルシュタヴツィ           ガロヴァチュキ滝

 次いでガロヴァチュキ滝が現れる。滝の水を浴びている人がいた。日本なら滝に打たれる行者というところだがただ水をかぶったと言うだけようだ。桟道は幾段もの小さな湖を縫って登っていく。それぞれ美しい滝が見られる。登り切るとガロヴァツ湖に出る左岸の土の道を行く。平坦で歩きやすい。夕日を受けて紅葉しかけた林が美しい。

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ガロヴァツ湖から流れ落ちる滝         ガロヴァツ湖              ガロヴァツ湖の滝

 案内書のお奨めコースは時間がかかるのでバティノヴァツ湖の脇を通ってバス停ST3へ急ぐ。山の中に所々滝や流れがあり退屈しない。18時35分発のバスでST2のバス停へ。19時15分公園を出発。

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バティノヴァツ湖              山道脇の流れ                   3連のバス

 山道をたどり、公園内と思われるアンキツア・オーロヴィチュ・アパートメントにチェックイン。山小屋風の建物が数棟建っている。食堂は離れたところにあるので、外灯もなく真っ暗な道を苦労して歩く。食堂が満員なので屋外の席。1種類のコースだけだが鱒の塩焼きは美味しかった。

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屋外の夕食                    スープ                    サラダ
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鱒の塩焼き                   肉料理                    デザート

 

(つづく)