4.四日目(5月5日(月))、オーベルンハイム、ロットヴァイル、シルタッハ、グータッハ黒い森野外民俗博物館、ザンクト・メルゲン、フライブルク、ザンクト・トルッドペルト修道院、フェルドベルク
オーベルンハイム
朝薄暗い中、交差点の小広場に建つ「メイ:祝祭のポール」をスケッチ。通りかかった人に「これは何ですか」を聞いたら「メイだ」と言う。「メイ・ポールか」と聞き直したら、「違う、メイだ」とのこと。この季節は祭りのシーズンでコミュニティごとにこれを立てて祝うようだ。
宿の女将に行き先を聞かれ、「シュヴァルツヴァルトから明日はボーデン湖沿いを東に向かう。メーアスブルクにも行く。」と言ったら、「私はメーアスブルクの出身だけど、いい町よ!」とのこと。
朝食を済ませ8時30分出発。
ロットヴァイル
8時50分、ロットヴァイル着。美也子が下痢気味でトイレを探したが、幸いすぐ近くにスーパーマーケットがあって助かる。緑茶、紅茶、水各2本買ったが、緑茶が砂糖入りでレモンの香りがするのには恐れ入った。
昔の城門・黒門を入るとハウプト通りで中心街。ベイウインドウ(張り出し窓)の家が立ち並ぶ中世の街並みが美しい。2月22~25日行われる黒い森のファスネット(カーニバル)の仮面で仮装した道化の行列が有名で、大勢の人が詰めかけるとのこと。9時15分出発。
シルタッハ
シルタッハはキンツイヒ川とシルタッハ川の合流点にある木組みの町並みで、「黒い森で最も美しい町の一つ」と呼ばれている。ドイツでもあまり知られておらず、観光客も少ない。
10時20分シルタッハ着。駐車場を出てシルタッハ川を渡り、ハウプト通りを進む。周りはすべて木組みの家。しばらく行くと「町」と呼ばれる中心部に出る。とんがり屋根の塔がある家など格好いい。ハウプト通りからシェンケンツエラー通りに入ると、そのすぐ先がマルクト広場。
傾斜した三角形の広場で中央にメイが立ち、泉もある。東側に1593年建造、ルネッサンス様式の市庁舎が建つ。1906~7年の改装の際にネオゴシック様式の破風が取り付けられた。壁面の絵は1942年に描かれたもの。破風右側のこの町の伝統産業なめし革を持つ人、アーチ右上の町の繁栄を支えた林業の筏流しなどが描かれている。
市庁舎から先の城山通りは相当な急勾配。シェンケンツエラー通りを進み、町はずれと呼ばれる辺りで下へ下る道を進むとキンツイヒ川に架かる橋に出る。ここからの眺めものんびりゆったりした気分になる。ハウプト通りを戻り、11時5分出発。
グータッハ、黒い森野外民俗博物館
訳400年前からのシュヴァルツヴァルト(黒い森)地方の古い農家などを集めて一つの村のようにし、農具などの民具や、生活を再現した展示、実演などを行っており、客の参加型イベントもある。
11時30分到着。入り口から入ると正面にピッペンセッペンホフ:1599年築❼が見える。大きな茅葺の家で煙抜きの尖がり帽子が面白い。周りに尖がり帽子の塔を付けた可愛い農場の礼拝堂:1736年築❽、倉庫:1590年頃築❻が立っている。近くには炭焼き窯KMがあり、断面で炭焼きの様子が分かるようになっている。
戻り気味に進むとホツエンヴァルド家:1756年築❷の屋根が見えて来て、屋根裏への入り口が突き出ている。表側に回ると橋が架かって2階から入るようになっていて、傾斜地に対応して工夫されている。
山側に進むとファルケンホフ:1737年築❸。ここも裏の山側から屋根裏の納屋に入れるようになっている。移築して来たものだから、谷筋の敷地の地形をうまく生かして元と同じになるように建物を配置していることが分かる。その隣にシャウインスランド家:1730年築❹、日雇い労働者の小屋:1819年築❺が建っている。
一旦入り口へ戻り先に進むとヴォーグバウエルンホフ:1612年築⓫が見えてくる。園内最大と思われる建物で、部分的に屋根を葺き直した様子がよく分かる。瓦で葺き直した部分も見受けられる。その脇にはグータッハ谷の倉庫:1606/1626年頃築➓が建っている。
ヴォーグバウエルンホフの裏を進むと管理棟⓬がある。管理棟から下る坂道沿って製パン所、火酒醸造所:1870年頃築⓭、製材所:1673年築⓮が建っている。製材所には水車が 付いている。坂道を下り切った所に農家の水車小屋:1609年築⓯がある。脇道を入った突き当りには養蜂所⓱があり、わらで編んだ巣箱らしきものが置かれている。
元の道に戻るとキンツイヒ谷の倉庫:1601/1746年頃築⓲、その奥にキンツイヒ谷のロレンツエンホフ:1608年築⓴が建っている。ロレンツエンホフから曲がった先にキンツイヒ谷のパン焼き場㉒、その先の突き当りに鋸挽場:1826年築㉓、その先を曲がって進むと麻圧搾所㉔が建っていて、麻圧搾用の仕掛けが展示されている。
麻圧搾所のところで交わる道を右に進むとグラニー家:1652年築㉕で車大工の店だったもの。来た道を戻りながら入り口方面に進むと製油所㉗があり、製油用の石臼などが展示されている。
シュヴァルトヴァルト地方が雪深い所だからか、どの家も急勾配の屋根で軒が深く、傾斜地のせいもあってか半地下になっている家が多く、1階は石造でその上に木造の家屋が乗る形になっている。それぞれの建物でテーマごとの展示がされ、手作業の実演などが行われていたようだが、時間が無くてほとんど内部を見れなかったのは残念だった。
ザンクト・メルゲンへ向かう途中、黒い森の風景を楽しむ。ランドワッサー峠はまだ芽吹き前の感じで針葉樹の森はまさしく黒い森だった。
ザンクト・メルゲン
ザンクト・メルゲンは黒い森の丘の上にある小さな町。ベネディクト会修道院は1118年頃「聖マリア礼拝堂」として設立された。火事で5回、最初は1284年に、最後は1907年に破壊されたが、その都度再建あるいは復元された。教会の隣にきれいな墓地があった。駐車場のそばに立派な建物のカフェがあり感心した。
フライブルクに向かう途中、ザンクト・ペーターのベネディクト会修道院の脇を通る。修道院は1093年にツエーリンゲン侯爵ベルトルト二世によって設立されたもので、教会内部はバロック様式の装飾で飾られた立派なものだそうだが残念ながらパス。
フライブルク
黒い森の南西部にある美しい大学町。16時15分着。時間がないので町の中心ミュンスター広場に向かう。大聖堂は「キリスト教世界で最も美しい塔」を持つとされるがあいにく修理中。1200年に着工し1512年に完成した。ロマネスク様式とゴシック様式が混在する、ドイツでも屈指の大聖堂。ガーゴイル(水吐き口)が面白い。広場を挟んで南側に建つ赤茶色の建物は16世紀に完成した商館で1階はアーケードになっている。現在、内部はイベントホールが入っている。16時55分出発。
360度の眺望が楽しめるというヴィルヒェンの山頂まで行こうとしたが、リフトの運行時間を過ぎていて乗れず、歩いて登れば往復30分というので断念。
17時50分、聖トルッドペルト修道院着。大きく立派な修道院。構内を外側だけ見て回る。
宿へ向かう途中、ヴィーデナー峠を通る。夕日を受けて木々の長い影と緑の草地の対比が美しい。
19時30分、フェルドベルクのホテル・アドラー・ベーレンタールにチェックイン。フェルドベルクは標高1495mの黒い森の最高峰フェルドベルク山にあるスキーリゾート。夕食は今日もアスパラガスなど美味しかった。
(つづく)