4.四日目(9月21日(月))、ブラントーム、オートフォール城、ロッセ城、モンパジェ、ベルヴェス
ブラントーム
ボルドーの北西に位置する中世の美しい町。旧市街はドロンヌ川とその支流に囲まれた「ペリゴールのヴェネツィア」と呼ばれる小さな町。8世紀にカール大帝によって設立された修道院がドロンヌ川の崖下にあり、現在も11世紀の、2つの博物館と市庁舎のある18世紀の修道院の建物が残っている。
旧市街へは橋が架かっている。橋の上からの旧修道院の眺めはゆったりとして美しい。川辺にはレストランなどが並んでいる。
ドロンヌ川と支流との合流点には落差調整用の洗堰が設けられている。旧市街を通らずに旧修道院の門に到る専用の橋が架かっていてここが最高のビューポイント。堰を流れ落ちる水の流れや水面の表情も変化に富んでいて、絵はそれを描いたもの。
橋を渡ると門の近くに遊覧船が舫っている。反対側にはかっての修道院の建物を利用したと思われるホテルとレストランがあり、こちらの眺めも様におなっている。
旧修道院と旧市街を結ぶ橋が架かっており、旧修道院の建物に市庁舎が入っているので市民は普段これを利用している。
旧修道院の裏には崖が迫っており。崖下を建物として様々な用途に利用している。
ドロンヌ川沿いの建物もなかなか趣がある。旧市街の反対側の橋が見えるところで引き返し、旧修道院と結ぶ橋を渡って旧市街を見学する。朝も早いのでまだ人出も少ない。
ペリグー経由で山の東側のオートフォール城へ向かう。
オートフォール城
片側に城下町を巡らす壮大な17世紀の城で、ロワール川以南のフランスで最も宮廷文化の影響を受けた城と言われる。前身の要塞としての城は987年の記録に残るほど古くからあったようだ。1633年にルネッサンス様式で改築が開始され、フランス式庭園もこの時に造られた。近世に入って荒廃したが、20世紀半ばに修復された。城館は広大な中庭のテラスを囲んでコの字形をしている。
駐車場から進むとドームが特徴的な城館が見えてくる。アプローチの左手に庭園があり、樹木のトンネルを進む。トンネルが切れると北側の広々とした風景が広がる。右手には空堀にはね上げ橋のかかった城館入り口が見える。
入り口を抜けると城館に囲まれた広々とした中庭のテラスに出る。テラスの下には幾何学模様の庭園と城下町の屋根が連なっている。
テラスの北側に左右対称が特徴のルネッサンス様式の主翼が建っている。東翼の前にある門型の列柱廊を潜り、チャペルの横から地階レベルにある庭園に出る。
東側の庭園は規模も大きく丸く刈り込まれた樹木が印象的。花も多く華やかな感じがする。城館の北側を通って駐車場に戻る。
少し離れると広い牧草地の向こうに城下町とその上にそびえるオートフォール城を眺めることが出来る。
南に向かってロッセ城を目指す。
ロッセ城
ヴェゼール川の岸壁の上に建つ小さな城で、岸壁の岩が浸食されて危なつかしい感じ。防御設備は15世紀に造られたが、居住ホールは1576年完成のルネッサンス様式の建物。
ヴェゼール川沿いの道を来ると岸壁の上のロッセ城が見えてくる。川を渡り、16時10分駐車場に着く。アプローチの道を進むと正面に入口の小城塞(3)が見えてくる。城はヴェゼール川と3方の空堀(1)に囲まれた矩形をしている。
小城塞から入ると正面に居住ホール(7)がある。こじんまりした領主の館の感じ。内部には16・17世紀のタピストリー・家具・武器などが飾られているが時間が無いので中へ入るのはパス。外郭沿いの狭い庭を進むと左手に聖マルゲリーテ塔(4)がある。
庭の突き当りに城の北西隅のエペロン塔。振り返ると城の主要部分が一望できる。水彩画はそれを描いたもの。
右手の入り口を入ると「低い庭」。かなり広い面積を占めている。東に進むとヴェゼール川に出る。かっては水運に利用されていたものと思われる。川岸の上にも小さな庭がある。居住ホールのテラスからの眺めを意識してのことと思われる。
城の外へ出て空堀沿いに歩く。野生のミニシクラメンが可愛い花を咲かせていた。城の南側にアカシデの庭(2)があるがかなり広いので一部を見て引き返す。
16時45分出発。ヴェゼール川沿いに進む。途中サン・レオン・シュル・ヴェゼールのそばを通る。鉄道が出現する以前までヴェゼール川流域有数の栄えある船着き場で、交易による恩恵を受けた。「フランスの最も美しい村」の一つ。車を止めて川越しに写真だけ撮る。
モンパジェ
バスティードと呼ばれる計画都市の中でも、その卓越性と模範性から最高傑作とされる町。フランスで最も完璧な城塞都市の一つ。「フランスの最も美しい村」認定。碁盤目の町で、中心を占めるコルニエール広場が有名。町はイングランド王エドワード1世の命により1284年に開かれた。
北大市場からノートルダム通りに入る。黄色がかった石造りの二階建ての家が連なっている。コルニエール広場の手間、左手教会広場の先にサン・ドミニク教会がある。13~15世紀建造の南仏ゴシック様式の教会で簡素なたたずまい。入り口中央の柱に可愛い彫像が飾られている。
サン・ドミニク教会は二つの道路の交差点に面しており、コルニエール広場の隅にある形だが、道路が広場のアーケードに繋がっているので広場の入り口が面白い形になっている。
コルニエール広場は13世紀の民家、14・18世紀のアーケードに囲まれていてここが街の中心。アーケードの天井は木造床組み。アーケードのベンチに腰掛けて憩っている人たちがいる。広場の南側には13世紀の木造の旧中央市場が残っている。
旧中央市場横からアーケードを抜けるとジャン・ガルモ通りとノートルダム通りの交差点に出る。角の家の隅にモンパジェの紋章が飾られ、旗が掲揚されていた。
ノートルダム通りを南に進むと珍しく木組みの家があった。通りを抜けると南の大市場。北と同様かなり広い広場がある。
聖ジャック通りの城門を入り北に進む。正面にコルニエール広場のアーケードが見える。このアーケードは唯一広場西側 全面に連なっている。そのまま進むと北の大市場の広場に出る。
時間があったので元来た道を戻ってベルヴェスに行く。
ベルヴェス
「良い眺め」を意味する名前の通り、小高い場所にある中世の戦略拠点だった城塞都市。当時の7つの鐘楼が残されている。「フランスの最も美しい村」認定。
村に入る手間で全景が望める。赤い屋根と周囲の緑の対比が美しい。パステルと水彩の絵はこれを描いたもの。
村に近づくとベルヴェス城が見える。16世紀に創建された城で城中の複数絵画が1470~98年の物であることが分かり、話題を集めている。年代が合わないが、城は14世紀建造との記述もあるのであるいはこちらが正しいのかもしれない。
中世の街並みが続くマンショット通りを進むと町の中心アルム広場に出る。広場には旧卸売市場がある。15世紀中頃、木造の屋根と柱のみで建てられた希少な建造物で土台は石柱。
その先のシセ広場にツール・デ・フィロル(観光案内所)がある。11世紀建造の建物でかっての領事の館を利用したもの。鐘楼は1450年に建てられ、1677年に遡る「領事の鐘」と呼ばれる市の鐘を収容している。
その横のフィロル通りを進むとロカル・ド・ベルヴェス病院、その先にベルヴェス城がある。14世紀建造の城で、中世の町の主塔として用いられていたオーディトウル塔や15世紀に建てられた鐘楼などが残る。村の入り口で見たベルヴェス城と位置的に合わない感じなので、あるいは2つのベルヴェス城があるのかもしれない。
ほかの道をたどってシセ広場に出、アルム広場を通り引き返す。
20時10分モンパジェのホテル・エドワード1世にチェックイン。ホテルの食堂で夕食。
(つづく)