3.三日目(11月4日(金))、男木島、女木島、高松市
男木島
7時30分ホテル出発。高松港の駐車場に着く。8時高松港出発、女木島に寄った後、8時40分、男木島に着く。
船を降りるとプールの真ん中に男木交流館がある。これがog01 男木島の魂:ジャウメ・プレンサ、2010年:柔らかい曲線の屋根は8ヵ国の文字が並び、その屋根が水面に反射して二枚貝のイメージ。文字の間から日差しが屋内に差し込むユニークな建物。プールの向かいには男木島コミュニティセンターが建っている。なかなかきれいな建物。
反対側のプールの脇にT01:造形された島の案内板。同じ港の広場にog02 タコツボル:TEAM男気、2019年:島の伝統であるタコ漁に使うタコ壺をモチーフとした遊具を制作。港そばの空き地を子供たちの遊び場とする。
南に向かって反対側の海岸に出る道をたどると、og17 青空を夢見て:レジーナ・シルベイラ、2016年:学校の体育館の正面に刺繍のように見える空と雲が出現。瀬戸内特有の青い空と光のイメージ。その先を進み、左折してしばらく行くと、og05 漣の家:真壁陸二、2022年:倉庫の壁面に、様々な色に塗られたアクリル板を張っていく。芸術祭期間中、島の住民や来場者のそれぞれが感じる「海の色」の板を作るワークショップ。作品は徐々に増殖し、変化していく。
その先を海岸沿いに進むと、og16 歩く方舟:山口啓介、2013年:旧約聖書のノアの方舟に想を得た立体作品を堤防に展示。白と青に着色した4つの山を持つ方舟が、海を渡ろうと歩くさまを視覚化する。島々の連なる海をバックに、海や空に溶け込む様で素晴らしい。
来た道を引き返し、og05のそばの道を右折して山道を進むと左手にog19 No.105:王徳瑜、2022年:空間における人間の存在と、人間による空間への介入とその変化をテーマにインスタレーション作品を制作。従来の視覚的な美術のあり方から離れ、作品を体感することを通して、人間の直感的な感覚と意識を呼び戻そうとしている。
その先の細い道を上り下りして進むと豊玉姫神社の鳥居の手前左手にog05 男木島路地壁画プロジェクトwallalley:真壁陸二、2010年:この島で集めた廃材や廃船などに風景のシルエットをカラフルに描き、民家の外壁に設置した作品。もはや島の景観の一部となって馴染み、あちこちで見られる。その先の鳥居脇を上がった所にog18 男木島パビリオン:大岩オスカール+坂茂、2022年:瀬戸内海の穏やかな海を見渡せる場所に紙パイプ構造の建物を作る。港や海、瀬戸内の島々や夕焼け空をキャンバスに、大岩オスカールが瀬戸内のイメージを描くという作品。
仁たちは石段を登って豊玉姫神社に寄っていくというが、きついので元来た道を引き返し、合流点で落ち合う。左手の道を少し下り、最初の道を右折して進むとog14 漆の家:漆の家プロジェクト、2013年:地元漆芸家たちが参加し、家屋を伝統的な漆芸技法でリノベーション。香川の漆芸は黒、白、赤、青など色彩が豊かなのが特徴。
漆の家のすぐ下にog15 部屋の中の部屋:大岩オスカール、2016年:部屋の中に、90度回転した部屋が出現。不思議な空間を楽しめる。
先へ進み十字路で右折してog05のある先へ行くとog08 アキノリウム:松本秋則、2010-22年:建物の1階では自動演奏するサウンドオブジェの影絵を映し出す。2階では、数多くのサウンドオブジェで立体的な音が体験できる。
og05のところから西に進み突き当たって左折するとog07 瀬戸で舞う:川島猛とドリームフレンズ、2010-22年:作家がニューヨークで制作した「Blue and White」シリーズのパネルを古民家に展示。日々の閉塞感を離れ、作品の中で当たり前だった自由な日常を感じて欲しい。鏡がうまく使われている。
その先を進むとog20 学校の先生:エカテリーナ・ムロムツエワ、2022年:作家がさまざまな人たちから聞き取った「学校の先生」のエピソードに基づく、古代文明の仮面のようなドローイングを古民家の各部屋にグリッド状に配置する。来場者が自分の先生や自画像を描いて展示できるスペースや、先生についての話を書き残すための黒板も設けられ、鑑賞者の参加によって「学校の先生」のイメージは厚みを増していく。
その先を進みog05の脇を通り越して三叉路にぶつかった所で右折するとog03 生成するドローイングー日本家屋のために2.0:村山悟郎、2019、22年:2019年の芸術祭で、築90年の元商家の内壁を壁画で埋め尽くしたプロジェクトをアップデート。前回はドローイングを施さなかった壁面にまで拡張して、植物や貝や人や海がそれぞれ異なる時間軸をもって同居する様を描く。倉庫部屋には古材を用いた新作を展示。
港に戻り男木島海征食堂で蛸飯、蛸の唐揚げ、サザエのつぼ焼きを買って昼食。出航までに時間があるので男木島図書館に行く。瀬戸内芸術祭を契機にした移住者を中心に、島民が古民家を改修して出来たNPO法人運営の私設図書館。閉館中だった。13時男木島港出航。
女木島
13時20分、女木島港到着。島に降り立つと猛烈な風が吹きつける。防波堤と防潮堤にmg01 カモメの駐車場:木村崇人、2010・13年:カモメの風見鶏がずらりと並ぶ。目に見えない風の形をカモメの向きで視覚化。ターミナルビル「鬼ヶ島おにの館」を抜けて表に出ると石垣が延々と続く。女木島は、一年を通して風が吹き、特に冬は「オトシ」と呼ばれる強風が集落に吹き付けるため、風から家を守る石垣「オオテ」が海岸に並ぶ。海岸側にモアイの広場がある。
その先にmg02 20世紀の回想:禿鷲墳上、2010年:青銅製のグランドピアノと4本の帆によるサウンドインスタレーション。ピアノから流れる音楽が目の前に広がる海の波の音と呼応しながら旋律を奏でる。海岸通りを進み森のあるところで左折、しばらく行くと豊玉依姫神社があり、龍の造形が見たれる。その先少しずれた十字路の角にmg15-B 不在の存在:レアンドロ・エルリッヒ、2010年:改装した空家に作品2点を設置。不在の可視化がテーマの体験型作品。図書館を併設。
来た道をそのまま進み住吉神社の脇の山道を登る。かなりきつい。森の手前にmg17 段々の風:杉浦康益、2013年:かって段々畑だった場所に約400個の陶のブロックを設置。女木島の町並み一帯と海が見渡せるよう、光景と作品との大胆な一体化を図り、大パノラマを見せる。同じ作者の越後妻有トリエンナーレでの星峠の壮大で素晴らしかった作品を思い出す。
山道を下り、住吉神社からまっすぐに伸びる道を進む。突き当たって右手へぐるりと進むとmg24 結ぶ家:大川友希、2022年:地元の人たちや来場者が持ち寄る古着の断片を繋ぎあわせ、空家の外壁を次第に覆っていくワークショップ。アパレルショップの併設を構想中。
来た道を戻り、先に進むとmg25 MEGI Fab:三田村光土里、2022年:女木島の風景をプリントしたテキスタイルによる一点物の布製品を製造、展示、販売する手芸工房。来場者は作品の鑑賞、購入に加えて、製造に参加することもできるという計画。
すぐ隣にmg26 ごんぼうや:小谷元彦、2022年:築100年以上の空家の梁や土壁、外構を活かし、鬼の棍棒を作品として展示する。
道なりに進み、mg15-Bの前を通り過ぎてさらに進むと左手にmg14 ISLAND THEATRE MEGI「女木島名画座」:依田洋一朗:古い倉庫を活用し、シアター仕立ての絵画と映像によるインスタレーションを発表。マンハッタンの懐かしい劇場の記憶を凝縮する。
元の道に戻り女木小学校に入るとmg13-B 女根/めこん:大竹伸朗、2013・16年:島に生息していた大きな椰子が人工衛星のようにブイの上にそびえ立ち、その周りにはキッチュなタイルのモザイクやワニのオブジェ、船材などを配置。作品は校舎周辺にまで増殖し、植物と一体になって響きあい、休校中の小学校に生命観と躍動をもたらす。
校舎前の道路を進むとmg27 ナビゲーションルーム:ニコラ・ダロ、2022年:女木島東海岸の旧海の家。12か月に対応する曲を奏でるオルゴールと、天体の動きを模する3台のスティックチャート(木の棒を組み合わせた海図)が連動し、それらを接続するディスクが波打つように上下動しながら回転する。現代のオデュッセイアがたどる航路を物語る、架空の海を渡る航路を見つけるための航海装置。機械仕掛けのモビールで外に広がる海を背景になかなか面白い。
来た道を戻り三叉路を左に進むと突き当りにたくさんの作品を収めた寿荘があるが出航の時間に間に合いそうにないのでパス。海岸通りに出て先に進むと森のはずれにmg23 瀬戸内カーニバル:あきびんご、2022年:絵本作家が描いた、故郷「尾道水道」と女木島の鬼ヶ島伝説を想像で結ぶ巨大な「屏風絵本」が古民家に出現。海の生き物に扮した鬼たちが、瀬戸内海の島々を縦横無尽に駆け巡る。時間が無いので外から写真を撮るだけで港へ急ぐ。乗船の人たちが大勢列を作っていた。15時20分女木島港出航。
高松
15時40分、高松港到着。船を降りたすぐの所にtk01 Liminal Airーcoreー:大巻伸嗣、2010年:港にそびえ立つ2本の柱。カラフルな柱は一部が鏡面になっていて周囲の情景を映し出す。港の移り行く景色が、作品の様々な表情を作っている。港の周りはすっかり再開発されて昔の面影はない高松港港食のテラスの脇を通って高松城に向かう途中にT02:ジョゼ・デ・ギマランイス:香川の看板。
高松城の玉藻公園前にtk03 「銀行家、看護婦、探偵、弁護士」:ジュリアン・オピー、2015年:地元産の石などを用いた彫刻が、道行く人と一緒に歩くように並ぶ。白大理石の「銀行家」、庵治石の「看護婦」、石灰岩の「探偵」、黒御影の「弁護士」。駐車場に戻り屋島を目指して出発。
16時15分屋島の駐車場に着く。源平合戦の屋島の古戦場展望台まで行き、引き返す。
駐車場を通り過ぎて進むと新屋島水族館がある。その先にtk22 高松市屋島山上交流拠点施設「やしまーる」:周防貴之、2022年:敷地の形に沿った通路のような建築は、展示スペース、集会スペース、休憩スペースなどの機能があり、蛇行する建築形状によって作られた大小6つの広場と一体的な空間をなす。立体的に広がる空間を回遊していくと、周辺に広がる様々な風景と各広場で行われる活動の様子をうかがうことが出来る。まるで敷地全体が建築化されたような空間だ。西側の展望スペースで夕日を眺める人が大勢いた。
屋島寺を通って駐車場に戻る。17時30分出発。
18時10分高松シンボルタワーの駐車場に着く。オリーブタワー5階にtk24 ドキュメント「同じ月を見た日」、ここにいない人の灯り:渡辺篤(アイムヒア プロジェクト)、2022年:不在の者たちが遠隔操作する球体ライト作品<ここにいない人の灯り>と<ドキュメントー同じ月を見た日>の上映も行う。低層部の屋上展望デッキに出た後、高松港旅客ターミナル1階に行く。
tk25 PAPER SEA:Asaki Oda、2022年:紙で作られた魚の群れは、朝は島へ行く旅人を見送り、夕方帰ってきた旅人を迎える。高松港の窓口、総合案内所が、軽やかに泳ぐクジラや魚たちによって、不思議な海底世界に変身する。
高松駅横の高速バス待合所にtk04 待つ人/内海さん:本間純、2013年:外壁をよく見ると点々と島の人を模した彫刻があり、待合所内では映像作品を上映。外壁の石とそっくりに仕上げていて見る角度によっては見えない。面白い作品。
17時、駅ビル内の「杵屋」に入る。讃岐うどんの夕食。美味しかった。19時55分出発。
丸亀城の駐車場に着く。外灯が無く真っ暗な中、城を目指すがよく分からず城門から外へ出て堀端から写真を撮る。21時20分、オークラホテル丸亀着。旅行支援クーポン3920円/人の値引き。ほかに地域クーポン3000円/人もらう。
(つづく)