7.八日目(9月25日(金))、クロ・ド・ヴージョ城、ブルゴーニュ運河、シャトーヌフ・アン・オーソワ、フラヴィニー・シュル・オズラン、フォントネ修道院、ビュッシー・ラビュタン城、スミュール・アン・オーソワ、アヴァロン
8時30分ホテル出発。珍しく晴れている。昨夜呑んだワインを買おうとホテルで教えられたワインショプを探して車を走らせたが、見つからず諦めてクロ・ド・ヴージョ城へ向かう。この辺りはグランクリュー(特級)街道と呼ばれる最高級ワインの葡萄畑が続く。
クロ・ド・ヴージョ城
最も素晴らしいブルゴーニュ・ワインの一つとされるクロ・ド・ヴージョの葡萄畑に佇む城館。元はシトー会修道士の館だった。現在はワイン造りの道具の博物館になっている。このあたりの葡萄畑は塀で囲われている。9時30分に着いたが、博物館の見学は時間の関係でパス。
ブルゴーニュ運河
1775~1832年に建設されたソーヌ渓谷とヨンヌ渓谷を結ぶ242kmの運河。主に建設資材が輸送される。小高い丘の上に次に行くシャトーヌフ・アン・オーソワの村がかすんで見える。水彩スケッチは船溜まりを前景にその風景を描いた。
シャトーヌフ・アン・オーソワ
平原の小高い丘の上にある非常に小さな村で、周囲は小麦畑とのどかな牧草地帯が広がる。「フランスの最も美しい村」認定。この地に12世紀終わりに城が建設され、「新しい城」を意味する「ノーヴァム・カストラ」と呼ばれたことが現在の地名の由来となっている。ディジョンからオータンの町へ続く旧街道を防衛するという戦略的重要性から村は大きな発展を遂げた。
10時30分に駐車場に着き、村の入り口の門から入り、進むと14~16世紀建造の歴史あるブルゴーニュ商人の館が建ち並んでいる。水彩スケッチはこの様子を描いた。小さな塔や格子状のムリオン窓を備えているのが特徴。この道はシャトーヌフ城の城門に通じている。
城は13~15世紀にかけて段階的に要塞化され現在の姿に至っている。城の周囲は空堀が巡らされ、城門を入ると中庭に出る。12世紀の主塔、城主が暮らした15世紀のグラン・ロジとフィリップ・ポの館が残っている。
城を出て、来た道と別の道を進むとサン・ジャック・エ・サン・フィリップ教会がある。15世紀終わりから16世紀にかけて建築されたもの。駐車場に戻り、11時出発。
フラヴィニー・シュル・オズラン
小高い丘の上にある小さな村。ここの名物はアニスのボンボンで、村中が砂糖菓子の甘い香りに包まれている。
12時17分駐車場に着く。市民公園から入りアビイ通りを進み、スリ通りで右折する。スリ通りとの角に趣のある建物があり、水彩スケッチはこれを描いた。
スリ通りの坂道を登り切ったあたりの右手に8世紀建造のサン・ピエール修道院がある。修道院の先へ進むと15世紀建造のブール門。
ここから引き返して北側に向かい、途中で右手の道をぐるっと回るとゴシック様式のサン・ジュネスト教会教会に出る。
教会前広場から北に向かい突き当たったら左折し、カトリック教会前で南に向かう。しばらく進み、ヴァル門への路で右折するとすぐに13世紀建造のヴァル門がある。昔は跳ね橋があったのかそれらしい格好。駐車場に戻り13時15分出発。
フォントネ修道院
森の中に佇む1118年設立の最古のシトー会修道院。外観、内装とも華美な装飾性を一切排している。世界遺産。
14時4分到着。入り口を入ると広い庭が広がり、左手から鳩舎、犬舎、貴賓室、セガン展示室、牢屋、鍛冶作業室などの建物が建ち並ぶ。水彩スケッチは左手の鳩舎、犬舎、貴賓室の様子を描いた。
順路に従って進む。貴賓室(11)は18~19世紀にかけて修復されたもので、貴族が修道院を訪問した際の居住用。
鳩舎・犬舎(12)は通信用の鳩、近隣の森に狩猟に来る王侯貴族が使用した狩猟犬の飼育用。この先を右に回ると聖堂の正面に通じている。
祠堂(1)は1139~1147年建築のロマネスク様式。この時代はロマネスク様式の開花期であったが、修道院の創始者聖ベルナルドはその華麗を否定し無装飾、簡素なものとした。
聖堂の右脇から回廊に出る。回廊(3)では控えめではあるが柱頭に植物の文様などが施されている。東側回廊に面して集会室(4)がある。天井はリブアーチで支えられている。その奥、大庭園に面して共同寝室(2)がある。15世紀後半にできたもので船底型のアーチ天井となっている。修道士たちは同一場所で寝ることが定められており、初期の修道院長もここで睡眠をとった。写本作業室(5)の天井もリブアーチで支えられている。
共同寝室の東側に大庭園があり、正面東端にカスケードとプールがある。
共同寝室を出ると左手に病室(7)がある。18世紀に改装されており、庭には薬草が栽培されている。
そのすぐ先に鍛冶作業室(8)がある。13世紀末に建てられたもので、修道院生活に必要な品物はほとんどここで作られた。裏の壁に沿って流れる川を利用して大きな水車を設け、これを動力源として大ふいご、溶鉱炉を駆使し、水準の高い溶接技術を誇っていた。
鍛冶作業室の向かいにある建物は16世紀に造られた牢屋(9)。
回廊南側にあるセガン展示室(10)は1850年に当時の所有者がマルク・セガンに関する資料を展示するために改装したもの。元は修道院を訪れた人のための台所と食堂だった。15時出発。
ビュッシー・ラビュタン城
ルイ14世時代、貴族出身の作家ビュッシー伯ロジェ・ド・ラビュタンが建てた豪華な城館。12世紀の建築。14世紀に建て直され、その後も改装されて今日に至っている。
ロジェ・ド・ラビュタンはその著作がルイ14世を誹謗しているとして投獄されたが、その後領地での謹慎を命じられた。そこで城館の居住部分を絵画装飾で埋め尽くし、庭園なども整備した。風刺をこめた絵画も多いという。
12時25分到着、城館、庭園を見学し、16時20分出発。
スミュール・アン・オーソワ
アルマンソン川のほとりにある美しい町。中世の面影をとどめた塔のある要塞が残る。
16時40分駐車場に着く。ブッフォン通りの1444年建造のソーヴィニー門から旧市街に入る。道なりに進むと前方に村のシンボルでもある14世紀建造の要塞が見えてくる。アルマンソン川に架かるジョリ橋や、対岸からが要塞のヴューポイント。要塞には4本の大きな塔があり、ここからは左にオーレ・ドール塔、右にゲエーネ塔が見える。水彩スケッチは対岸から描いたもの。ジョリ橋の欄干の花が美しい。
ここで引き返して川沿いの道を進む。振り返って見るジョリ橋は丘を結ぶ形でかなり高く、立派なアーチ橋だ。アルマンソン川は大きく蛇行して村の濠の役目を果たしているようだ。川沿いの町並みは緑も多く落ち着いた風情がある。やがて要塞の南面が見えてくる。手前がマーゴ塔で奥が監獄塔。この辺りはピナール橋が架かり、ノートルダム教会や旧市街の建物が水面に映って見事。
川を離れ坂を上りながら進むとノートルダム教会の前に出る。11世紀創建だが、13~14世紀にゴシック様式で再建されたもの。ブッフォン通りで小さな孫たちの土産に服を買い駐車場に戻る。18時24分出発。
アヴァロン
19時17ふん、オステレリー・ド・ラ・ポステ、アヴァロンにチェックイン。明るいうちにアヴァロンの町を少し見て回る。
大通りを進むと1456年建造の時計塔が見えてくる。地図で道の上に黄色く四角く示されているのがそれ。時計塔を潜って振り返った所を描いたのが水彩スケッチで、左手の木組みの建物1階に案内所がある。
その先を少し進むと右手に11世紀建造、ロマネスク様式のサン・ラザール教会がある。その手前、教会広場に面してドミシーシアの家がる。小さな塔を持つこの地方民家の特徴的な姿。
来た道を引き返し、20時からホテルの食堂で夕食。
(つづく)