はじめに
11月8、9日に甲信の美術館、建築を中心に見て回るドライブ旅行に行ってきました。枯れているのが多く紅葉は今一つでしたがお天気に恵まれ楽しい旅でした。
1、11月8日(水)
仁たちが車で迎えに来てくれて6時出発。東名高速横浜ICから入り、海老名で圏央道へ入る。八王子ICで中央道へ。8時双葉SAに到着。レストランは開いておらず、フードコートでほうとうの朝食。8時40分出発。9時に長坂ICで高速を降り、八ヶ岳高原へ向かう。八ヶ岳高原大橋の展望台に9時12分に着き写真を撮る。
野辺山高原のJR最高地点で丁度やって来た列車の写真を撮る。
小海町高原美術館
10時30分小海町高原美術館に着く。道路の向かいは公園になっていて自然豊かなところ。安藤忠雄建築研究所の設計で1997年7月開館。「人と自然の融合・調和」をテーマに高原の傾斜地をそのままの形で生かし、周りの豊かな自然と内部空間が呼応している。道路に面して1階は低く抑えられ、展示室は地下に設けられている「SHINBISM23シンビスム5」が展示されていた。八ヶ岳を背景に美術館の全容が眺められるように展望台が設けられている。11時30分出発。
キース・ヘリング美術館
12時25分、ホテル・キーフォレスト・ホクトの駐車場に着く。変わった表情を持つ建物で玄関に入るとラウンジにウイスキーの瓶が飾られている。このホテルの付属施設として中村キース・ヘリング美術館がある。敷地の脇の道を通って美術館へ。
キース・ヘリングは1980年代ニュー・ヨークのアートシーンを席巻した伝説のストリート・アーティスト。エイズで僅か31年の短い生涯にすべてを表現し、希望と夢を残していった。美術館は中村和夫氏が1987年から収集したキース・ヘリング作品約300点を展示する。2007年建設の美術館は北川原温設計で第21回村野藤吾賞、2009年日本建築大賞などを受賞したもの。写真機の持ち込み禁止、ただしスマホで写真撮影はOKとのこと。スマホを車の中に置いてきたので仁が取りに行ってくれる。優しくありがたいことだ。玄関わきの「闇へのスロープ」を下って「闇の展示室」へ。NYダウンタウン・ルネッサンス展が開催中。最初の部屋が「闇の展示室」
狭い通路を上ると「プラットフォーム」でここも坂になっている。次が「希望の展示室」でかなり広いがここの床も傾斜している。
「自由の回廊」を進むと「自由の展示室」でハウス・オブ・フィールド展を同時開催中。衣装デザイナー・スタイリストとしてエミー賞受賞のパトリシア・フィールドの作品展。
中庭を通ってオープンスペースへ。中庭を眺める休憩室になっている。ショップを通って「自由の回廊」に戻り、先ほどと反対の方向に進んで階段を上って屋上へ。二つのハートを組み合わせた作品が日光を反射している。鏡面仕上げで周囲の自然が映り込んでいる。隅の円形のスペースにはベンチが用意されている。美也子はショップでお土産のマグネットを買う。外へ出て裏に回ると木の幹に作品がある。その奥にスパ。敷地内の道をたどると山梨国際芸術祭の作品の名残が見られる。13時40分出発。
身曾岐神社
19時45分身曾岐神社に着く。古神道の奥義「みそぎ」の行法並びに徳を広く分け与える神社。みそぎとは「きれい」になること。きれいな心と体になってこそ、すべての願いは叶うという教え。駐車場の目の前の水祥殿は「神は火水(かみ)なり」との古神道の教えにより水がご神体。その横の道を進み鳥居をくぐると広場があり、正面の階段を上ると拝殿。その奥に神明造りの本殿がある。拝殿の左側に火をご神体とする火祥殿がある。
広場に下りて左側に進むと池を隔てて能楽殿がある。本舞台、橋掛かり、鏡の間、貴人席という本来の能舞台に必要な要素を完備し、舞台を中心に鳳凰が羽を広げるようなバランスの取れた配置となっている。前景をなす神池に浮かぶ姿が美しく、池水そのものが音響効果を上げている。舞台正面鏡板の老松は守谷多々志画伯の作。能楽殿の左奥にあるのが瑞松宮で修行の館。永世殿、息吹殿、禊殿など一連の建築群からなる。宿泊施設を完備している。禊殿は上流の滝と下流の能舞台前の神池の中流に社殿が浮かぶ構造になっている。14時15分出発。
清春芸術村
12時25分清春芸術村に着く。武者小路実篤や志賀直哉などの白樺派同人による美術館構想を親交のあった吉井長三が私財を投じて実現し、吉井仁実が拡充した。旧清春小学校跡地を買い取り、1980年に「清春アートコロニー(清春荘)」を開設して以来、数々の施設を新増築、移設して来た。芸術村の基本設計は谷口吉郎、没後は息子の谷口吉生が引き継いだ。
入口の門を入ると正面に「ラ・リューシュ」❶がある。1981年建設の集合アトリエ。1900年パリ万博のワイン館として建てられ、後にシャガールなどを輩出したアトリエ兼住居のコピー。元の設計はエッフェル塔の設計者ギュスターブ・エッフェル。内部は非公開。建物の前にオシップ・ザッキン「メッセンジャー」が立つ。
庭を左手に進むと磯村暖「星を見ながら化石になった人786」。よく分からない作品。敷地の縁に旧小学校の開校を記念して植えられた見事な桜の古木・臥龍桜が並ぶのに沿って進むと、敷地の隅に茶室「徹」❺がある。藤森照信設計で縄文建築集団のメンバーが作ったもの。敷地にあった檜の木の上に建てられている。敷地沿いに進むと「サウナがある。
その近くに安藤忠雄雪渓の「光の美術館」❸。展示室は人工照明が無く、季節や時間と共に変化する自然光だけで作品を鑑賞できる。ピカソの後継者と謳われるアントニ・クラーベの作品が展示されている。落合陽一「ヌルの共鳴:計算機自然における空性の相互接続」も展示されている。その近くに「エッフェル塔の階段」❽がある。エッフェル塔完成百周年の1989年にエッフェル塔の一部がフランスより移設されたもの。隣にセザール・バルダッチーニ「エッフェル像」。
光の美術館近くの階段を上がった所にSODE CORE/EVERYDAY HOLIDAY SQUAD「rode work」があり、すぐそばに谷口吉生設計の「ルオー礼拝堂」❹がある。ルオーを記念して建てられたもので、入り口上部のステンドグラスはルオーの作品。吉野祥太郎「Strata of Timeー時間の地層ー」が展示されている。
ルオー礼拝堂の横を進むと清春荘があり、渡辺志桜里+永山裕子「Reference of Nature」が展示されている。来た道を戻ると左手に梅原龍三郎のアトリエ❻の入り口があり、奥に進むと吉田五十八設計の建物が移築されている。
来た道を戻ると左手に谷口吉生設計の清春白樺美術館❷。内部は撮影禁止。清春美術館正面の路の先端に宮原嵩宏「NullPointerExceptionーKAKASHI」、階段を挟んで向かい側、食堂などの建物の前に岡本太郎の彫刻がある。
階段を下りて進むと左手に白樺図書館❼。駐車場の奥に建つのは「素透撫stove」で岩波書店元会長小林勇の旧居「冬青庵」を移築したもの。塀は竹箒を組み合わせてある。現在はオーガニック食材を中心としたフランス料理のレストランとして営業している。前庭は杉本博司+榊田倫之の設計。彫刻は旧電通本社ビルにあった志水晴児の作品を移設したもの。
この奥の建物「和心」➓は杉本博司+榊田倫之設計で2019年に完成したもの。さらに先に進むと右手に清春登り窯❾がある。15時30分出発。
茅野市:藤森照信設計の建築
16時10分、神長官守谷資料館に着く。古くから諏訪上社の神長官を務めて来た守谷家の旧宅地内にある。藤照信設計。近くにある藤森設計のワイヤーで中空に吊り下げられた茶室「空飛ぶ泥船、高い木の上にある「世界で最も危険な茶室」と評される茶室「高過庵」、地中に埋め込まれた茶室「低過庵」、茅野高部公民館を見て回る。どれも藤森らしい建物。17時出発。
松本駅近くの駐車場がそばにある居酒屋をネットで探して、18時「大漁」という店に入る。運転する仁が飲めないので白ワインハーフボトル1本を注文。料理はどれもなかなか美味しく、値段も安かった。
19時40長野道道の姨捨SAに着き、トイレ休憩と展望台で千曲市の夜景を写真に撮る。19時50分出発。
上信越道長野松代ICの近くのダイワ・ロイアル・ホテルに20時5分に到着。歯ブラシや浴衣などすべてセルフサービスで人出不足に対処しているようだ。
(つづく)